8/29から9/1までの4日間で父と北アルプスの裏銀座を縦走してきたので、その記録をしたいと思います。
今回は1日目の記録です。
北ア裏銀座縦走コースについて
本題に行く前に、今回歩いた縦走コースの裏銀座について少し書いておきたいと思います(そんなこと知ってるよって人は読み飛ばしてくだされ)。
裏銀座縦走コースとは、高瀬ダムからブナ立尾根、烏帽子岳、野口五郎岳、水晶岳、鷲羽岳、三俣蓮華岳、双六岳を経て、西鎌尾根から槍ヶ岳へ至る縦走コースです。
(裏銀座の山々 2017.9.29 燕岳より撮影)
北ア縦走の入門コースとされる表銀座(中房温泉から大天井岳、東鎌尾根経由で槍ヶ岳)というものもありますが、それに比べると裏銀座は標高差も大きくて1日の行動時間も長いです。
1日目のブナ立尾根は北アルプス三大急登の1つであり、尚且つ日本三大急登の1つでもあります。
つまりはかなりの体力がいるコースということです。
しかし行程は長いですが、鎖や梯子を使ったり岩場をよじ登ったりというような危険な個所はほとんどなく特別な技術は必要はないので、ある程度の経験や知識があり、真夏の山行であれば難しいコースではありません。
一般的には2~3泊で歩く人が多いようです。
山小屋は結構ありますが、キャンプ指定地が限られているので、テン泊派にはちょっと不便かな…。
そして裏銀座は北ア最奥の地であるため、アクセスが超絶悪いです。
高瀬ダムの登山口まではマイカーが禁止されているし、一度入山してしまうとエスケープルートがほとんどないのです。
表銀座に比べると人も少なく静かで良い反面、トラブルが起きた時には自分自身で解決しなければなりません。
まあ言ってしまえば秘境の地。
だからこその魅力がたくさん詰まっていて、やっぱり登山者の憧れの縦走路なんだと思います。
そんな裏銀座を舞台にした本があります。
ご存知『黒部の山賊 』です。
これは名著中の名著!山小屋だけでしか買えなかったこの本は、現在下界に降りてきて誰でも読めるようになっているので、裏銀座に行った人、まだ行ってない人、裏銀座の存在すら知らなかった人、そもそも登山なんかやらんよっていう人、もはや登山ってなに?っていう人、この世のすべての人に読んでほしいですな。
私はこの本が大好きで、去年の冬あたりに買ったのですが3回は読み直したし、暇な時にペラペラやっています。この本の感想文もいつか書きたいな(*'▽')
4日間の日程
8/29 高瀬ダム→ブナ立尾根→烏帽子岳→烏帽子小屋(テン泊)
8/30 烏帽子小屋→野口五郎小屋→水晶小屋→三俣山荘(テン泊)
8/31 三俣山荘→双六小屋→鏡平山荘(小屋泊)
9/1 鏡平山荘→小池新道→鏡平山荘→新穂高温泉
1日目の山行記録
4:20 自宅 ― 5:50 大町駅 6:00 ― 6:40 高瀬ダム 6:50― 7:10 裏銀座登山口 ― 8:00 10番 ― 8:10 9番(権太落シ) ― 8:30 8番 ― 8:45 7番 ― 9:25 6番 ― 10:29 2208.7m三角点 ― 11:35 2番 ― 12:00 1番 ― 12:30 烏帽子小屋 (テント張る・昼食) 13:55 ― 15:00 烏帽子岳 ― 16:10烏帽子小屋 ― 17:10 夕ご飯 ― 20:30 就寝
裏銀座縦走1日目
高瀬ダム登山口へ
当日の朝は3:30頃起床。眠すぎる…(笑)
高瀬ダムの登山口まではマイカー禁止なので、大町駅前の第一タクシーを利用しました。
料金は8200円(たけえ…)。
タクシーの運ちゃんめちゃくちゃ陽気で、すごい喋るんです(笑)
朝から元気もらいました、ありがとうございまーす(/・ω・)/
山道に入ると沢山の猿がお出迎え。
運ちゃんによると、道の真ん中に座ってる猿にクラクションを鳴らしても平気な顔して動かないんだとか。
絶対轢かないってわかってるんだね。
途中で通る七倉山荘。ここで登山届を提出します。
(タクシーから瞬時に撮ったのでこんな写真しかない、ごめんなすって…。)
ここからはタクシーか歩く人しか通りません。
沢山トンネルがあって、中がガスって異様な雰囲気を醸し出していました。
おびただしい量の岩が積まれた高瀬ダムの堤防をくねくねと登っていきます。
◆高瀬ダムについて
高瀬ダムは昭和46年から6年かけて作られました。
岩石や土砂を積み上げて作るロックフィルダムという種類だそうで、日本では黒部ダムに次いで2番目に高い堤高(176m)を持っています(ロックフェルダムの中では日本一)。
不動沢トンネル前に到着。
タクシーはここまでです。
「アリガトウ運ちゃん!頑張ってくるね!」(笑)
タクシーが帰ったあと、ダムの堤防を覗いてみました。
WOW!
積み上げた岩は8万個に及ぶらしい(・ω・ノ)ノ
振り返って、ダム湖はこんな感じです。
色がすごいし、なんかいっぱい浮いてるよ。
それでは、靴ひもを結んでいよいよ出発です。
今回のザックは総重量15㎏になりました。
超重い。すでに肩痛い。
(すっごい頑張ったけど全然荷物減らなくて萎えてる。)
不動沢トンネルの中はこんな感じ。
この形はThe昔のトンネルって感じで…出そう…(笑)
トンネルを抜けてしばらくすると不動沢吊り橋がありました。
揺れる上に足元の木の板に隙間があって、青緑色のダムの水がはるか下に見えました。
濁沢キャンプ場。
白い砂。
この山を登っていくのね…。
2つ目の橋です。
大雨の時は通行できなくなりそうな雰囲気を醸し出していました(笑)
そしてようやく登山口に到着!
トンネルから20分くらいでした。
日本三大急登ブナ立尾根
さあここからいよいよブナ立尾根です。
日本三大急登はどんなものかな、ドキドキ(*'▽')
…き、きつい!!!!!!
北アルプス三大急登の1つ、合戦尾根は去年登りましたが、日帰り用の荷物だったので今回とは比べ物にならないくらい楽でした。
10キロ超えのザックを背負うなんて何か月ぶりだからな……。
裏銀座は体力がないと歩けないと上で書きましたが、私は体力に関して自信が皆無です。
しょっぱなからヒーヒーだったよね…。
きついときは、ひたすらゆっくり歩く。\これに限る/
階段が沢山。急登以外何もないです。
ブナ立尾根は登山口から烏帽子小屋まで要所に番号がふってあります。
12から始まって小屋が0なのですが、気を付けていただきたいのが番号は一定の間隔ではないということ。10番から9番が10分で行けるのに対して、7番から6番は30分かかったりと、まあ休憩も入れているのですが、それにしても間隔が違う( ;∀;)
騙されないようにしてくださいね(笑)
途中で一緒になった団体さん。抜きつ、抜かれつ…。
もののけ姫に出てきそうな木。ご立派だなあ。
ちょっと気持ち悪いんだけど、これ見てください。
最初苔だと思ったんですけど、よく見たら動いてる(笑)
毛虫、かな?こんなの初めて見た!!(それにしても気持ち悪いな…)
木々の間から見えたこの山は餓鬼岳…??
ここを通過した頃、雨が降ってきてしまいました。
レインウェアを着用して一眼レフはザックにしまったので、写真が全然ありません…。悲しい…。
歩いているうちにやんだり、また降ったり。
そういえば途中で下山してきた団体さんとすれ違ったのですが「大きいの背負って偉いねえ」といわれました(笑)
20の女、ザック背負っただけで褒められる。
まだ着かんの?まだ着かんの?しか考えられなくなってきたころ、ようやく烏帽子小屋に到着しました。
ひえ~~~、まじのまじでしんどかったあ…(;´Д`)
◆烏帽子小屋について
1924年に創業して、今年(2018年)で94年目!歴史がありますね~☆
暖房設備がないなどの不便さが逆に魅力的なんだとか…?
私たちは近くのキャンプ指定地でテントを張ったので小屋の中のことはよくわかりませんが、真っ青に輝く屋根がとても素敵な小屋でした。
水場はなですが、小屋で天水を購入できます(1ℓ200円)。
またテント泊の方への情報ですが、テン場近くはブヨが大量発生しているようです。対策をしっかりして行った方が良いかと思います。
<基本情報>
収容人数:約70人
開設時期:7月~
素泊まり:6500円
テント泊:1000円/人
テント設営数:約20張
参考:烏帽子小屋HP
青い屋根が素敵な小屋でした。
トイレは外にあります。
綺麗でした。
受付を済ませてキャンプ指定地へ。
到着したときは誰もいなかったので、サイトは選び放題!
2人用テントがぴったりおさまる場所を発見。
テントを張って、昼食をとりました。
家を出る前に作ってきたバケットサンド。中身はハム、チーズ、コンビーフ。
バケットかたくてイラっとしたけどおいしかったです。
サイトからは三ツ岳が最高にきれいでした!
烏帽子小屋から烏帽子岳
昼食を終えたら、レインウェア、水、行動食、一眼レフ、トレッキングポールを持って烏帽子岳をピストンすべく出発しました。
本当はまじで疲れていきたくなかったけど、父の「せっかく来たんだから」という言葉に励まされて足に鞭打って歩きました(笑)(笑)
烏帽子小屋から樹林帯を抜けると、真っ白な砂浜が広がっていました(*'▽')
振り返れば三ツ岳、これを明日登るのか…先が思いやられる…。
向かいの尾根に燕山荘が見えました。
去年は燕岳から裏銀座の山々を見て「来年は絶対あそこを歩くんだ」と決めたことを思い出して、夢が現実になっていることになんとも言えない感動を覚えました。
目下の山の向こう側に虹らしきものが…不思議な現象…。
しばらく歩くと烏帽子岳が見えました!
オベリスク素敵ですね~。
…心なしか雲の色が不穏だけど…(;^ω^)
尾根道に猿が数匹いました。
こんなに標高高いのに登ってくるんだね。
烏帽子岳山頂直下は急登、鎖が続き、高所恐怖症の方は厳しい道のりだと思います(汗)
鎖場。
結構高度感はありますが、慎重に行けば普通の人なら登れると思います(\そんなにビビらなくても大丈夫!/)。
わたしはこういうの大好きなので超楽しかったです(/・ω・)/
しかし落ちたら重傷は免れないので細心の注意を払って進みましょう。
岩と鎖を頑張って登れば…
烏帽子岳登頂!
…ちょ、どんなとこに頂上標識立ててるんですか!(笑)
写真撮りづらくて仕方がないよ(汗)
◆烏帽子岳について
標高2628m。日本200名山に指定されています。山頂のとがった形が烏帽子に似ていることが名前の由来だとか。
山頂の北側には四十八池という池塘があります。まるで天空の楽園のようだと言われています。
こちらが四十八池。
(烏帽子岳山頂から撮影)
四十八池は今回パスしたので(疲れて歩きたくなかった)次来るときの楽しみにしよう。
ではテントに戻ります。
さっきより晴れて、青空が顔をのぞかせました。
しかし稜線の西側は風が強くなってきました。
予報では次の日から強風と出ていたので心配です。
空を見上げると、強風の予兆であるレンズ雲の集団が。
なかなかに大量発生していました。
しかしこの時は強風の恐ろしさなどつゆ知らず、ジオラマ風で撮影などして遊んでいました。
おもちゃみたいね。
はー、あいつを明日登るんか…(2回目)。
帰りに山小屋で烏帽子岳のバッチとお茶を購入しました。
本当は炭酸系が飲みたかったのだけど、なかった…。
仕方ない、贅沢は言わないよ…(500ml 500円するお茶もだいぶな贅沢だよ)。
ちなみにビールは650円です。
夕ご飯は焼き肉
テントに戻ってきたら夕ご飯を食べました。
食事当番はお父さん(笑)
メニューは、牛肉の焼肉(牛肉が重要)、豚汁、ご飯(ちゃんと炊いたよ、お父さんすごいね)。
激うまだし、生き返った~~~!
山で食べる肉よりうまい食べ物はない!!
蚊に刺された話
しかしここで悲報:
4か所蚊に刺される。
このキャンプ地、とにかく蚊がやばかったです。大量発生。
多分近くにヒョウタン池があるのが原因なんだろうな…。
服の上から刺されました。さらに目の上も…しんどい(泣)
蚊対策として、山に入るときはいつも虫よけスプレーを持参しているのですが、今回は効果なしだったらしいです…。
ちなみに愛用しているのはコレ↓
小さくてブヨにも効くし、香りも良いです。
ただ、説明書きにはアブに効くと書いてない…。
アブって山にたくさんいるじゃないですか、例えば八ヶ岳とか。車に大量に引っ付いてくるし…(アブは車の排気ガスが大好きらしい)。
アブも防いで欲しいっていう時はアース製薬のサラテクトが良いです。
フレッシュミストのマリンの香りが気に入っています!
ただ、スキンガードアクアに比べると少々大きいのでかさばります(微々たるものですが)。
他にはハッカスプレーを自作するのが効果的だそうです。
私は作ったことがないのですが、誰にでも簡単にできるみたいなので作りたいと思っています(いつも思ってるだけ)。
検索すればすぐに作り方が出てくるので作りたい方はやってみてください!
ちなみにハッカスプレーは消臭効果があるので服や靴にかけたり、マウスウォッシュにできたりと万能らしい!!
ちょっと虫よけの話題で盛り上がってきたので(勝手に盛り上がっているだけ)最強の虫よけを去年登山中に発見したのでそれも書いておきます。
わたしが思う史上最強の虫よけは、ギャツビーで体を拭くことです!!!
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東北の山を登っているときに、顔の周りをしつこく飛ぶ虫(よくいるやつ)にイライラしてしまって、どうしたものかと困っていた時に、一緒に登っていた相方がギャツビーのシートをくれました。
それで首周りを拭くと、さっきまでの虫が嘘のようにいなくなりました。
何だコレはーーーーーっ!!!世紀の大発見!となったわけです。
以来ギャツビーは登山で常に携帯するようになりました。
ギャツビーで体を拭くと、めちゃめちゃスース―して気持ち良いし、これが一石二鳥というやつですな。皆さんも試してみてくだされ!
(尚、本当に虫よけに効くのか科学的に証明されたわけではないので、例えギャツビーを使って虫に刺されたとしてもわたくしは一切の責任を負いかねます(笑))
というわけで、ギャツビーで体を拭きまくり、虫よけスプレーをこれでもかというくらい撒き散らしたら、もう刺されませんでした。
ヤッタネ!!(虫よけの話題でこの記事終わりそうになった。)
烏帽子小屋の夜
夕食が終わるともう太陽が山に沈もうとしていました。
片づけをしてから、烏帽子小屋の前のベンチに座って夕日を眺めることに。
沈みゆく太陽を見ながら静かに夜を待つ。山の醍醐味の1つです。
強風に煽られて、次々と形も色も変わっていく雲たち。
終わりかけのイワギキョウの絨毯と太陽。
烏帽子小屋前はイワギキョウが群生しています。
良き哉…。
太陽が沈んだ後何十分かすると、雲が赤くなっていきます。
恐竜の形をした雲が寂しそうに空を飛んでいきました。
ロンリーザウルス(笑)
赤く染まるのはレンズ雲。
明日は強風確定か…。
太陽が落ちると、やってくるのはただただ漆黒の闇です。
ちょっぴり怖くてドキドキして、でも少しわくわくする。
夜は満天の星空が広がりました。
星の名前は少しはわかるはずなのですが、こんなに大量に見えると何が何だかわからなくなってしまう(笑)
流れ星が一筋流れていきました。
ところで、テン場で星を眺めてて思ったのですが、
みんな寝るの早すぎやしない????
19:30頃にはほとんどのテントの明かりが消えていました。
夕日とアーベントロートと星を楽しまないで何を楽しむのさ???
確かに次の日に備えて早く寝るのはわかるんだけども、3:30に起床しても8時間も寝られるじゃないですか…。
そんなに早く寝られると、起きている方は気を使わなきゃならなくなって、ちょっと困るなあ…、なんて…。
本当は21:00就寝予定でしたが、20:30には寝袋に入りました(笑)
よく考えたら寝袋で寝るのは3ヵ月ぶりくらい。
いつも寝られなくて苦労するんですけど、今回ばかりは疲れ果てていたので秒で寝ました。
てか、寝袋快適すぎ、なんで今まで寝られなかったのか不思議なくらい。
あったかい、ふわふわ、ありがとう寝袋さん…大好き…。
というわけで、1日目は無事に終了しました。
本当に疲れました。正直言ってもう半死状態でした(笑)
明日何が起こるのかどきどきわくわくしながらふか~~~い眠りに落ちていきました。
2日目に続く…。
反省
体力不足以外の何物でもない(笑)
やっぱりブナ立尾根はきつかったです。雨にも降られたし。
体力がないと余裕がなくなって、景色を楽しんだり花を愛でたりできなくなってしまうのが悲しい。
感想
きつかった。きつくて、何が何だかよくわからずに1日が終わったような。
もっと楽しめるところ沢山あったんだけど、ほとんどすっ飛ばした気がします(;^ω^) 去年からずっと思い描いていた憧れの地を歩いているっていう実感が全然わかなくて、烏帽子岳に向かう途中で燕山荘を見つけた時にやっと実感が出てきて、なんだかとても不思議な感じでした。
まだ初日なのにこんなにきついくて大丈夫なのかという不安と、明日はいよいよ北ア最深部を歩くっていうわくわくが私の中で入り混じっていて、でもやっぱりあと3日間の中で何が起こるのか、北アがどんなものを見せてくれるのかっていう楽しみのほうが勝っていたと思います。
怒涛のように過ぎていった1日でしたが、最高に楽しい1日でした!