こんにちは。
今日は北八の中山・ニュウに登った記録です。
中山・ニュウについて
中山(なかやま)は、長野県茅野市と小海町にまたがる標高2496mの山です。
標高2000m以上の高地にある池としては日本最大であるということで有名な白駒池から、北方へほど近い場所に位置しています。
山頂の近くに広く開けた展望台があり、周囲の山々を眺望することができます。
ニュウは長野県小海町に位置する標高2352mの山です。
山頂は岩峰で構成されており、休憩のできるスペースもあります。
山名の由来は諸説ありますが、刈り取り後の稲を円柱形や円錐形に積み上げる稲わらの「にう」と山容が似ていることが有力な説のようです。
参考:にゅう - にゅう:標高2,352m-八ヶ岳周辺 - Yamakei Online / 山と溪谷社
山行記録
7:40 苔の森有料駐車場 ー 8:00 白駒荘 ー 8:40 高見石小屋 ー 8:50 高見石 8:55 ー 9:50 中山展望台 10:20 ー 11:20 ニュウ ー 12:05 白駒湿原 ー 12:15 白駒荘 12:30 ー 13:00 麦草ヒュッテ ー 13:20 地獄谷 13:30 ー 13:45 麦草ヒュッテ ー 14:10 苔の森有料駐車場
北八の魅力を再確認
はじめに
今年の8月最初は、山仲間のゆずちゃんと北八ヶ岳に出かけていました。
8月の頭と言えば長かった梅雨が明けたくらいの頃で、まだイマイチすっきりしない天気だったので、今年初の苔を見に行こうということになったのです。
麦草峠の苔の森はとても有名で観光名所になっていますが(過去記事参照)、今回はそこからさらに足をのばして中山とニュウという山に登りに行ってきました。
苔の森有料駐車場から白駒池
朝はゆっくり起床。
これは八ヶ岳の麓に住む、わたしたちジモピーの特権です(笑)
途中でゆずちゃんを拾い、ふみcarでメルヘン街道を上りました。
道中鹿さんにお会いしました。
…そういえばメルヘン街道で動物を見かけなかったことがないです、サファリパークなんでね。
本当は麦草峠の登山者用無料駐車場にとめようと思っていましたが、7:00過ぎではもう満車だったため、そこから少し先にある苔の森の有料駐車場にとめることになりました。
駐車料金は1日500円です。
さて、駐車場ではとんでもないことに気づいてしまいました。
>>一眼レフ忘れた<<
ゆずちゃんとの山行で一眼レフが使い物にならなかったの、これが2回目です↓(笑)
ゆずちゃんは一眼レフキラーなんじゃないかと思った。
(いやお前がただ忘れっぽいだけだろ。)
というわけで、今回は一眼レフの写真がありません…悪しからず:;(∩´﹏`∩);:
7:30過ぎに苔の森駐車場を出発しました。
森に入ってすぐにこのもののけ姫感に包まれます。
ここからまずは白駒池を目指します。
歩き始めて3分で、とあるおじいさんに話しかけられました。
フェイスシールドをして歩くおじいさん、これはただ者ではないぞと思っていたら、なんと北八の苔の案内人ということでした。
御親切な苔の案内人さんは、白駒荘までの道中、苔のことを色々とわたしたちに教えてくれました。
教えてもらった苔を全部写真に撮ったのですが、なんて説明してもらったか全く覚えてないやつが沢山あります…(笑)(笑)
この苔は…はて、なんだったかなあ…。
わたしの記憶容量1Bくらいですかね。
これはダチョウゴケだそうです。
苔がダチョウの羽に似ているからこの名前が付いたのだとか。
特徴的な名前だと覚えやすい。
白駒池では、池に浮かぶホソバノウキミクリという植物について教えていただきました。
水面に沢山浮かんでいる水草のようなものがホソバノウキミクリ。
本州では、白駒池と東北の一部にしかないという希少な水草らしいです。
実は前から「なんか枯れた葉っぱ沢山浮いてるなあ」と思ってたんですけど、こんな貴重な植物だったとは思いもよりませんでした…(笑)
白駒荘で待つお客さんを迎えに行くということで、苔の案内人さんとはここでお別れ。
わくわくするたくさんの知識を教えていただいてとても感謝しています。
ありがとうございました!
白駒池から高見石
苔の案内人さんと分かれたわたしたちは、次なるポイント高見石を目指して歩きました。
白駒荘の奥へ少し行ったところに分岐があります。
湿った森の匂いがつんとして気持ち良い。
苔むしたごろごろの岩をひとつずつ丁寧に超えていきました。
油断すると滑るので慎重に…。
久しぶりに歩く北八の森。
荷物も靴も軽いので、永遠と歩き続けられる気がしました。
いや~快適快適。
あっという間に高見石小屋につきました。
ここは、あげパンとランプと星の小屋。
初冬などに是非泊まりたい小屋。
この小屋の裏手に、高見石という展望スポットがあります。
自分の背丈よりも大きな岩を攀じ登らないと行けないので、高所恐怖症の方はやめた方がいいです(笑)
逆に岩場が好きな方には最高だと思います(^o^)
ゆずちゃんと、後ろは中山かな?
登れるところまで登りきると、先ほどまでいた白駒池を見下ろすことができます。
こんな山の中に、ぽっかりと口を開けたみたいな白駒池。
青い空が水面に映ってなんとも素敵です(*'▽')
高見石から中山展望台
高見石小屋の名物揚げパンを食べたいのはやまやまでしたが(山だけに(うるさい))、コロナが心配で外食は全くしないようにしているため、今回はパスしました。
ゆずちゃんにもここの揚げパンのおいしさを知ってもらいたいので、いつになるかはわかりませんが必ずやまた来たいと思います。
高見石から中山は、わたしも初めて歩く道だったのでとてもわくわくしました。
コメツガ?シラビソ?木の名前は詳しくありませんが、背の高い針葉樹林の森はとても美しかったです。
密集した木々の間を縫って歩くのが、北八の醍醐味。
高見石~中山間は終始なだらかな登り坂です。
走ってでも登れちゃいそうな、とてもやさしい登り。
ペースはがんがん上がります。
登りが終わるあたりで縞枯れゾーンになり、青い空ともくもくの雲を頭上に見ました。
夏きてるやん!と思った(小並感)。
足元にも広がる小宇宙。
上も下も宇宙。
この植物が気に入ったわたし。
とても小さいけど、とてもかわいい形してる。
足元のミニチュアの世界から、自分のお気に入りの色や形を探すのが苔の森を歩く楽しみです。
ところどころで道草食いながら、無事中山展望台に到着しました。
補足すると、中山の山頂は藪の中にあります。
手前にあるこの中山展望台が広く開けた場所なので、ここで景色を見ながら休憩をとるのがおすすめです。
展望台どん。
イスにふさわしい大きな岩の海。(笑)
ガスの中でゆらゆらする縞枯れの山。
本当に気持ちの良いところです。
スカッと晴れれば北アなんかも見れるのかな?
こちらは中山から見た東天狗と西天狗。
運よくガスが晴れてこの二山だけは見ることができました。
去年の秋にかずずと登った山、あの時は秋晴れして本当に最高だったな。
写真の、手前の木の枝たちがみんな左の方へ流れていて、ここは風が強いんだなということが想像できました。
中山展望台ではおにぎりを取り出して休憩。
食べている間にガスが濃くなって、天狗の姿はこの日二度と拝めませんでした。
中山展望台からニュウ
さて、展望台から再出発してニュウを目指します。
展望台を過ぎて中山の山頂を踏み(と言っても山頂は知らない間に通り過ぎていた)、そこからは下りに入ります。
途中平らゾーンが続いて、木道を快適に歩きました。
こんなふうに木道が作られているということは、この辺りは雨が降ると沼っぽくなるのかな、なんて想像しちゃいます。
泥になっているところには森の住民の足跡がたくさん。
皆さんは鹿とカモシカの足跡、見分けられますか?
…わたしにはまだ無理です…(笑)
これは、どっちの足跡かしら。
北八の森はとても密です。
小池知事に怒られるレベル。
途中で分岐を左方向へ折れました。
ちなみに、まっすぐ行くと天狗に行けます。
グリップテープみたいに木にまとわりつくフサフサな苔を発見。
こうやって握ってみるとラケットのグリップみたいで面白い(笑)
ニュウに近づくにつれ、大きな岩がごろごろし始めました。
たまにこんな感じの小さなハシゴもあります。
…使わなくても降りれるけど。(笑)
途中で登ってこられた女性2人のグループ、「この道、ずっとこんな感じですか?中山までどのくらいですか?」と必死な顔で尋ねてこられて、おいおい大丈夫かいと本気で心配しました。
「ずっとこんな感じですね~」と答えると、ひえ~と言った感じの顔をされてしまいました(笑)
この方たち、時間帯とスピード的に中山につくまでにはタイムアップかギブアップになってそうだな…と思ったくらいです、結構年配の方だったし…。
やめた方がいいですよとも言えず、ゆずちゃんと2人でゆっくり進むお2人の背中を見送りました。
どうかご無事で。
ニュウのすぐ手前に標識ありました。
にゅうって、にゅう?ニュウ?
ずいぶん変な名前の山なんだよなあ。
由来は諸説あるようですが、もっと他にいい名前あったと思う…。
ニュウへの最後の登り。
この大きい岩の積み重なりがニュウを形成しています。
岩を乗り越えてニュウの山頂にたどり着くと、なんとびっくり、あふれんばかりの大量の人。
岩の上は思ったよりも広くて休憩には良さげでしたが、あまりにも人が沢山いるのでろくな写真も撮らずに下ってしまいました(笑)
いくら野外とはいえ、これは密になるのではないかというくらいの人の量でした。
びっくりだね、こんなに人気の山だったなんて。
ニュウから白駒池
薄いガスの中を、今度は再び白駒池まで下ります。
ニュウから白駒池への道は終始こんな感じ↓
木の根がもの凄いです。
そして苔を張り付けたごろごろの岩。
濡れている時は細心の注意が必要で、わたしたちは何度もすっころびそうになりました。
というかゆずちゃんは1回コケたんだっけ(笑)
分岐が1つあります。
稲子湯の方も行ってみたいですが、今回は左へ。
分岐からはなだらかな道が続きます。
川とも沼とも言えない微妙な水場が1か所ありました。
倒木が沢山あるところも、自然のありのままの姿を残す北八の特徴です。
水に写り込む木々が美しかった。
空を見下ろす。
森が開けたところに白駒湿原が広がっていました。
ここは木道を歩きます。
小さな湿原ですが、ほっと落ち着けるような静寂があります。
春などは花が楽しめそう。
湿原の先はしばらく木道です。
木の板がところどころ腐っているので、足を乗せるのが怖かったです(笑)
ロシアンルーレット的な。
ここにも森の住民の痕跡。
この足跡、もう犬にしか見えないんだけど…タヌキ?
白駒池に戻ってきました。
この分岐は左へ。
するとすぐに白駒荘に出ます。
朝よりもはるかに人が多く混んでいました。
う~ん、やはりここは観光地。
白駒池から地獄谷
白駒荘でトイレ休憩を挟んでから、わたしたちは更に地獄谷というところへ足をのばすことにしました。
地獄谷とは、麦草ヒュッテから北横岳方面へ山道を登って行ったところにある凹地です。
地図を見るとよくわかりますが、メルヘン街道から北へ入ったところに凹地の地図記号があります。
今まで気にも留めていなかったこの凹地ですが、つい最近山の先輩のいくらさんがおすすめして下さったので、この機会に行ってみることにしたのです。
まずは、麦草ヒュッテに向かいます。
白駒の奥庭という場所を通るのですが、この道がかなり気持ち良くて癒されました。
緑の松を泳ぐように歩くのが楽しいところです。
そしてこちらが麦草ヒュッテ。
麦草ヒュッテを通り過ぎ、メルヘン街道を渡って反対側に行きます。
すると出てくる雨池の標識。
今回雨池は行きませんが、雨池方面へ歩いて行ったところに地獄谷があるためこちらへ進みます。
しょっぱなに渡る茶水の池。
その名の通り水は茶色く見えるのですが、水自体が濁っているのではなく、池の底にたまった土の色が透き通った水を通して見られるのだそう。
秋には池の水が干上がってしまうらしいです、それはそれで見てみたい!
茶水の池からは雨池方面の一本道をひたすら進みます。
傾斜はほとんどないのでハイキング気分。
途中で左手に分岐があるので曲がります。
この分岐には標識や印となるものが何もないので見落とさないように注意。
分岐から少し行ったところに柵があるので、扉を止めているロープをほどいて中に入ります。
柵の中はもう地獄谷です。
森の中にぽっかりとあいた穴へ、急傾斜を下っていきます。
穴の底には苔むした大きな岩たちがごろごろと転がっていて、見下ろすと圧巻の景観でした。
穴の底に近づくにつれ、体感でもわかるくらいみるみる気温が下がっていき、なんだかぞっとしてしまいました。
自然に対して思わず畏怖を感じてしまうほどひんやりと静まり返った凹地でした。
物理的にも(寒い)、精神的にも(怖い)、長居はできない場所だと思います…。
後にネットで調べたところによると、ここはどうやら火口らしいということがわかりました。
岩と岩の隙間に風穴が生じていて、これが気温の下がる原因なのだそうです。
この論文がわかりやすいので参考までに貼らせていただきます↓
夏場でも岩の間に氷塊が見られることがあるなんてすごいですよね。
知ってたら氷塊探ししたのにな…(笑)
帰る
地獄谷から出るには、下ってきた急傾斜を登り返さねばなりません。
短い距離ですが、1日中歩き回って疲れた足にはグッとくる斜面でした(笑)
あとは終始なだらかな森の中を歩いて出発地点に戻りました。
だいぶ歩いたね~。
お疲れ様でした(*'▽')
反省
今回は、登山靴をいつも使っているLOWAのタホーからスカルパのハイドロジェンハイクに変えて歩きました。
タホーはとてもいい靴ですが、ソールがかたくて厚いため、足裏で接地面の感覚をつかむことができなくて個人的には少し苦手だと感じ始めています。
それになんといっても重い。
靴の重さが足枷になって、長い距離を楽しく歩くことができないと感じます。
これに対してスカルパのハイドロジェンハイクは、ソールが柔らかく接地面の感覚をつかむことができ、かつ軽いので楽しく足を運ぶことができます。
今回この軽い靴を履いて長距離を歩いてみて、こんな風に思いました。
「靴が軽いと一歩が楽しい。」
ずっと悩んでいた足まわりの問題を解決できる糸口を見つけた、とても良い山行になりました。
感想
高見石小屋から先は初めて歩いたので、未知なる森を冒険する感覚が強かったです。
北八は山深いけれどなだらかな登山道が多いため、足元の色々な世界をじっくり観察しながら歩くことができるので好きです。
中山・ニュウは、まさにその魅力を持つ北八ヶ岳代表という感じで、ゆったりした山行を楽しむことができました。
しかしニュウは人が多くて滅入りましたね(笑)
お手軽だからたくさんの人に人気なのでしょうなあ。
この旅で一番インパクトがあったのはやはり地獄谷です。
森の中にあんな巨大な凹地があることを誰が想像できるでしょうか…。
なんかこう、エネルギーを吸い取られてしまうような気さえしました。
怖いの一言に尽きる…。
自然の驚異を感じられる場所でした。
ちなみに地獄谷は、梅雨の時期になると水が溜まるんだそうです(いくらさん情報)。
また来年、雨の降るころに、水の溜まった地獄谷を見に行こうかな(怖いもの見たさ)。