こんにちは。
今日は雪の北八ヶ岳に登った記録です。
中山について
中山(なかやま)は、長野県茅野市と佐久穂町にまたがる標高2496mの山です。
北八ヶ岳に位置しています。
山頂は樹林におおわれ展望はありませんが、すぐ近くに中山展望台と呼ばれる展望スポットがあり、茅野の街並みや日本アルプス、八ヶ岳では間近に東西天狗岳を望むことができます。
八ヶ岳の中でも特にマイナーな山で、比較的入山者が少なく静かな山行を楽しめます。
山行記録
7:00 渋の湯 ー 9:00 賽ノ河原 ー 10:05 高見石小屋 10:40 ー 11:50 中山展望台 ー 12:40 中山峠 ー 12:50 黒百合ヒュッテ ー 14:30 渋の湯
想定外の雪山登山
はじめに
2020年11月最後の山は、北八ヶ岳の中山に行ってきました!
今回の相棒は、会社の同期のさらちゃんです('ω')ノ
今年のお盆休みに会社の皆さんと一緒に硫黄岳に登ったのですが(まだ記録は書けていません…)、その登山にさらちゃんも参加していまして、それがきっかけとなって山にハマったらしいのです(^o^)
この間一緒に山道具を買いに行って全部揃えたので、今回予定を合わせて山に行くことになりました♡
元気いっぱいなさらちゃんとの八ヶ岳山行はじまりはじまり。
渋の湯から高見石小屋
当日の朝、家を出ると小雨が降っていました。
予報では昼までに回復するはずだったのでとりあえず駐車場には行ってみることに。
2週間ぶりの渋の湯ですが(2週間前の記録もいずれします)、道路状況が前回とは打って変わり真っ白になっていました。
先週スタッドレスにしといて正解だった(かなり面倒くさがってたけど)。
ここは駐車する前に建物の正面玄関で受付をしなければいけません。
駐車許可証をダッシュボードに提示し、駐車場所を指示されて初めて駐車することができます。
駐車料金は1000円/1日也。
前回と同じところに指示されたので駐車させてもらいました。
(写っているのは泊まりの人ゾーン。)
ちなみに水洗トイレ完備です✦
この時点で、下界での雨は雪へと変わっていました。
ちょっとみぞれに近い湿った雪でしたが、気温は0℃付近でそこまで冷え込んではいなかったのが救いです。
心配要素は多かったのですが、少しでも無理そうならすぐに引き返せばいいと思い、様子を見ながら出かけることにしました。
車の中で準備を済ませ、7:00頃に出発。
凍っているかもと思ってしょっぱなからチェーンスパイク・軽アイゼンを着用しました。
前日の八ヶ岳は雪が全く積もっていなかったので、ここまで雪山になるとは正直思っていませんでした…(汗)
登山口で登山届を提出し、まずは橋を渡ります。
わたしの場合、登山届はいつもオリジナルで作成・印刷したものを登山ポストに提出していますが、ここはポストの隣に用紙が用意してあるので当日に記入して提出することも可能です。
が、冬は手袋をしている上に机が雪だらけで文字なんて書けたものじゃないので、事前に用意してくるのをお勧めします(; ・`д・´)
2週間前とは全く違う顔になった樹林帯を進んでいきます。
登り始めてすぐに、チェーンスパイクの裏にくっついてくる雪がうざったくなって、チェーンスパイク・軽アイゼンは外すことにしました。
特に軽アイゼンは例の一本下駄になるのでほんと厄介。
雪をひとつかみしてぎゅっと握ると、一瞬で雪玉が作れる湿り具合です。
もう少し気温が下がらないとサラサラ雪は拝めそうにないですね。
雪が積もって魅力が増した北八の森。
つぼ足でも全く問題なく歩けました。
この時期はコンディションがちょくちょく変わるので、行ってみてから着脱して調節するしかないですな、面倒だけど。
苔たちもこの雪にびっくりしているみたい。
あ、今回一眼レフはお留守番です(出発時に雪が降っていたから)。
全部iPhoneの写真ですがお許し下せえ。
この手の橋をいくつか渡ります。
一目瞭然、この道を歩くのは本日我々が初めてです。
新しい雪に足跡をつけていく楽しさを存分に味わいました。
ゴロゴロした岩の多い北八ですが、この時期の中途半端な積雪量だとかなり歩きにくくなります。
夏だと岩の上をぴょこぴょこ行けますが、雪が積もっているとその下の岩の状況が全く分からず、一歩一歩接地面の様子を探りながら丁寧に歩かなければならないので時間がかかります。
足元はこんな感じ。
どこに足を置くのが正解なんだかわからん。
夏のようにぽんぽんとはいきませんね(´-ω-`)
標高を上げるごとに積雪量は増え、だんだんと湿気も少なくなってきました。
樹林の開けたところが賽ノ河原と言う場所です。
このコンディションでこの岩場は酷いもんですよ(笑)
さらちゃんはよく頑張ってくれたと思います。
同行者がさらちゃんじゃなかったら引き返しているところでした。
彼女の身体能力の高さに心の中で拍手した。
コレですよ奥さん。
夏道用のCTじゃわたしは絶対歩けねえ。(笑)
2人で「某-bell」の防水手袋をしていましたが、普通に染みてきてびっしょびっしょになりました。
教訓:ゴアテックスは信じるな。
ようやくお地蔵様に到着です。
帽子かぶって冬仕様になってる…。
こんな寒いところニット帽と布切れ一枚じゃあ寒いだろうに…。
と、この辺りで青空が出現しました!
雪山での青空の破壊力すごいんだよなあ。
雪山やる人はこれの虜になるんだと思います。
ここからさらちゃんにはわたしのチェンスパを献上。
つぼ足でも十分歩けますが、初心者なので念には念を、ということで(本人はめちゃくちゃ嫌がってた(笑))。
わたしは依然つぼで歩きました。
青空と日光と雪。
冷たくて透き通った空気。
すごく、すごく気持ちが良い。
賽ノ河原岩場の上部では、綺麗に形成された霧氷の数々がわたしたちを待っていました。
きええええ。
やばすぎない?
11月中にこの景色を拝めるとは思ってもいませんでした、最高。
白い雪がレフ板代わりになって美白効果です。(笑)
ありの~ままの~(古)。
岩場の最上部に来ました。
「渋の湯」の標識だけ凍らずにはっきり見えるの面白い。
ここから再び樹林帯に入っていきます。
岩場ともしばしの別れ。
いや~頑張ったわい。
森に入ったところで休憩しました。
岩の雪を払って腰を下ろすと、お尻からじわじわと冷えていきます(´-ω-`)
本日の休憩のお供はセブンのベイクドチーズケーキです(*'▽')
お値段しますがかなりのおいしさでほっぺ落ちました。
さらちゃんからスニッカーズのおすそ分け。
寒すぎてカッチカチになってたけどめちゃくちゃ美味。
今度わたしも持って行こ~っと。
腹から元気になったところで、再び誰も歩いていない新雪の登山道を進みます。
ここまで標高を上げると、雪質もだいぶサラサラに。
雪上に描かれる木々の影が自然のアートで素敵でした(*'ω'*)
青空に透ける霧氷も美しき!
高見石小屋までの樹林帯は比較的なだらかで歩きやすいため、わいわいやりながら余裕をもって歩くことができました。
そういえば、ここにきてさらちゃんの手袋が凍ってることに気が付きました。
指に手を通さず中でグーにして歩いていたようなのですが、こうすることによって手の熱が伝わらず、手袋に付着した水分が凍り付いたんだと思います。
…あの…うん、たぶんこれはかなりNGなやつだと思うんだ。(笑)
ハプニングはありましたが、無事に高見石小屋到着できました。
さすがに他のハイカーがいるかと思いきや、雪上には小屋の人がトイレに行った足跡しかついていませんでした。
ひっそりと雪の世界に佇む小屋…夏よりも一層魅力的でした。
高見石小屋
小屋のトイレをお借りしました。
トイレの壁に「ヘール・ポップ彗星」の写真が飾ってあって、それがわたしの生まれ年だったので印象に残りました。
彗星…まだ見たことがないから死ぬまでには見てみたいな。
高見石から白駒池の絶景を見るか、高見石小屋名物の揚げパンを食べるかで迷い、結局選ばれたのは揚げパンでした(食い意地さ)。
何やら「胡麻」という新しい味が出ていてびっくり。
2人で合わせて「抹茶・ココア・チーズ・胡麻」の4種類を頼みました。
待つ事10分ほど。
出てきたのはこちらの揚げたてほかほか揚げパンたちです♡
映えるというよりなにより最高にウマい。
外側はサクサク、中はふわふわ。
あったかい安定の味にホッとしてしまいました。
高見石小屋自体は今年何度か訪れていますが、コロナが怖くて外食をする気になれず、人気で人の多い時期のこの小屋では揚げパンは我慢するしかありませんでした。
でも今回の高見石小屋には小屋の人とわたしたち以外誰もいなかったので、ようやく安心して揚げパンを食べることができました!
う~ん嬉しい(∩´∀`)∩
外で揚げパンを頬張っていると、小屋のお兄さんが色々と話しかけてくださいました。
やはり前日は全く雪がなく、夜中にしんしんと降って今朝真っ白になっていたそうです。
秋と冬の狭間である今の時期が一番山歩きが難しいかもしれませんね、とおっしゃっていてその通りだなと思いました。
高見石小屋はこの時期土日しかやっていないので、揚げパンを食べたい方は平日は避けて出かけてくださいね(∩´∀`)∩
ごちそうさまでした!
そして小屋の優しいお兄さんありがとうございました!
高見石小屋から中山展望台
高見石小屋からも新雪の森を進んでいきます。
積雪量が1,2㎝ほど多くなっていて、ふかふかの雪に足を突っ込んで歩きました。
揚げパン休憩でかなり体温を奪われたせいでガタガタになり、途中2人でフリースを着込みました。
フリースの温かみは半端ないですね。
わたしは今年からパタゴニアのR2ジャケットにしましたが、使い勝手がサイコーなのでまたレビューを書きたい…。
そういえばこの時さらちゃんのレインウェアのファスナーが閉まらなくなって大変でした(笑)
かじかむ手でかたいファスナーを一生懸命引っ張るのですがびくともしないんですね。
最終的には2人で引っ張り合ってようやく閉めました(笑)
もう一生開かないレインウェアになってそうだよ…。
足元に森の住民の足跡がついているのを発見。
わたしたちの進む登山道にずっと続いていく小さな足跡。
これを辿って歩くのがとても楽しかったです。
さらちゃんは足跡を必死に追いすぎて、登山道をそれて木に頭をぶつけていました(笑)
小さな森の住民と大きなわたしたちでは、通る道が多少違うものです…(笑)
なだらかな森を歩いているとだんだん体も温まり、手の指先までもじんじんしてきます。
体温って幸せだ~。
傾斜が緩やかになったところが稜線です。
樹林でも稜線歩きは快適。
登りよりも景色を楽しむ余裕が出てきます。
雪のレフ板効果で美白ゆきんこになったさらちゃん。
…おい、そんなことより手袋をせい。
森が開けると、ようやく中山展望台に到着です✦
ここは晴れれば日本アルプスも見える最高の展望なのですが、今回はこんな感じで何も見えませんでした。
高見石小屋までは晴れてたんだけどなあ。
さらちゃんにここからの景色を見てもらいたかった…残念。
その代わりに、木々や岩に作られた霧氷の模様を楽しむことができました。
空模様は悪く寒いものの、風はほとんどなく雪の状態も良いため、結構楽しんでこの自然の造形美を眺めることができました。
「中山展望台」の標識にへばりつくえびのしっぽが一番きれいだったかな。
がっちがちに凍ったしっぽたち、結構殺伐としている。
中山展望台から黒百合ヒュッテ
中山展望台から少し行ったところに中山の山頂標識があります。
森の中にこれがあるだけなので、いつも中山は気づかないうちに通り過ぎていることが多いです(笑)
今回はさらちゃんが「あ、ここが山頂なんだ!」と言ってくれたので写真を撮ることができました(笑)
この辺で、わたしのナルゲンに入れていた水が凍り始めていることが発覚。
結晶が美しくて写真を撮りました。
やはりこの気温では、水筒を外ポッケに入れておくのは良くないのですね~。
中山の山頂からはずっと下りになります。
山頂直下は岩場なので、下るのは細心の注意が必要。
この辺りは黒百合平方面からの登山者の足跡が沢山あったため、足の置き場には迷わずに済みました。
中山を下るとまたしばらく平坦な稜線歩きが続きます。
途中ニュウと道を分けますが、あとは中山峠まで歩きやすい一本道。
峠に近づくと、所々東側を望める展望スポットがありました。
「うわあ!すごい!!!」と2人で大声を上げるものだから、歩いてきた他のハイカーさんたちはさぞびっくりしたことでしょう(笑)(笑)
霧氷のトンネルに感動。
ここは風が通ってだいぶ寒く感じましたが、さらちゃんは素手でおにぎりをもって歩きながら頬張っていたので強すぎると思いました。
見えない手袋でもしているのか…?わたしは手を出す気には到底なれなかった(笑)
今回の山行ではティーンエイジャー並みに自撮りしたね。
自撮りって難しいのよ。
女子高生の技術学びたい。
霧氷トンネルを抜けると中山峠に出ました。
ここで黒百合平に下りるか、天狗に行くかで分かれます。
我々は西方向、黒百合平に下ります。
中山峠―黒百合ヒュッテ間は木道の整備された登山道。
とても歩きやすく快適なので、仕事の愚痴がはずみます(オイ)。
あっという間に黒百合ヒュッテです!
(話が盛り上がってでかい声で騒いでたから他の登山客の視線を感じた(笑) ここは秒で通り過ぎたけど、まじで静かにしろ自分、反省(笑))
温度計はこんなもん。
あんま寒くないのね。
黒百合ヒュッテから渋の湯
黒百合ヒュッテからの下りは再び岩々の登山道になります。
と言っても踏み跡がだいぶくっきりついていたので、登ってきた賽ノ河原方面よりはずいぶん歩きやすかったです。
唐沢鉱泉との分岐を右へ。
ここまで2人のトークはほぼノンストップでした(笑)
本日2つ目の森の住民の足跡を見つけ、また感動しました。
その時はウサギと思ったけれど、今思えばリスかも…?
しばらく下って再び分岐。
右へ下ります。
積雪も結構減りました。
足跡の付いた森道をひたすら歩く。
下山中は体もあたたかく、手は汗をかくくらいぽかぽかでした。
最後は手袋を脱いでました。
無事登山口まで帰ってきました~。
お疲れ様でした(*'ω'*)
さらちゃん:「帰ったら寝よ」
余談ですが…わたしのナルゲン、結局全部凍り付いて飲めなくなってしまいました。
雪山では水筒はザックのメインに入れておきましょうネ(反面教師面)。
反省
さらちゃんには念のためチェーンスパイクを履いてもらいましたが、わたしは終始つぼ足で歩きました。他のハイカーもほとんどがつぼ足だったので、このくらいのコンディションならスパイク・アイゼン類がなくても十分歩けるのだと実感。実際のフィールドで経験しないとこういう実践的なところはわからないので、とても勉強になりました。
実体験と言えば、水筒を凍らせたことも今回の学び。冬は水筒は外ポケットに入れてはいけないというのは、知識としては持っていたけれど、実際に経験してみないと忘れてしまうものです。こういう経験をたくさんして冬山の常識にも慣れていけたら良いな。
あとは手袋問題。今回のルートは手を使って登る場面も多かったので、スキー手袋のような本格的な防水が必要だった…。そこは甘く見すぎたという自覚があります、反省。
靴のチョイスも間違えました。このコンディションでスカルパのハイキングシューズは良くなかったですね。足が痛くなるのであまり気乗りはしませんが、革靴のタホーが妥当だと感じました。雪の冷たさが伝わってくる感じが全然違います。
あとは、前々から思ってはいましたが、雪山で長時間の休憩はやっちゃダメですね。一度身体が冷えると筋肉の可動域が狭くなって動きが鈍くなってしまいます。しかもそれが回復するのにかなりの時間がかかる。身体を冷やすことによって受けるダメージ(体力の消耗)も半端ない。雪山では歩きながらぱくぱく食べられる食事・行動食が必要だし、ゆっくりでも休憩せずに歩き続けられる体力が必須だと思いました。
積雪のせいで、CTよりもかなり長い時間をかけて歩かざるを得ませんでした。計画より平気で1時間2時間遅れていたところもあったので、もうちょっと計画を綿密に練る必要があったなあと…。実際には、同じコースを無雪期に歩いた時より2時間ほどかかってようやく歩ききりました。無雪期の方が休憩を長くとっていたと思うので、やっぱり雪道を登るのは時間がかかりますね。
感想
行って良かった、楽しかった!
誰も歩いていない登山道をふたり占めして歩くのはやっぱり気持ち良かったです。
基本景色が良い山よりもひとけのない山が好きなので、渋の湯~中山周回ルートは大のお気に入り。
これを積雪の時期に歩くことができたのはすごく嬉しかったです。
同期のさらちゃんとも色々話せたし、忙しく大変な毎日の中で、すごくすごくストレス発散になりました。
マンネリ化し始めてきた無雪期の日帰り登山とは反対に、とても刺激的だった今回の山行。
山を始めたばかりの時、数々の山で感じたたくさんの感動が再び思い出されました。
よりハイリスクな雪山登山に、やはり自分は引き込まれて行くのだと感じています…。
色々な大事なものと雪山登山を天秤にかけ、それを眺めながらう~んと考えこんでしまう今日この頃です。