こんにちは。
今日は山ギアのお手入れ編。
X-PACやCODURAが使用されているULバックパックの洗い方をご紹介します。
はじめに
登山において最も大事なギアの1つであるバックパックですが、みなさんは日々のお手入れをどのように行っていますか?
バックパックの洗い方に関する様々なサイトを見てみると、大抵は「汚れた部分は、中性洗剤をつけた布で拭く」というようなことが書かれています。
わたしも今までは、バックパックが汚れたらこのようなお手入れをしていました。
でも、毎週山に登っているようなヘビーユーザーのバックパックには、汚れた部分を拭き取るだけでは間に合わないくらいの汚れがたまってしまうのが現状なんですよね…。
つい最近バックパックをまじまじと見てみたら、全体的になんだか黒ずんでいて汚いことに気がついてしまいました(気がつきたくなかった)。
それに、なんだか匂いも気になるような…。
ということでですね。
今回はバックパックの丸ごとざぶざぶ洗いに挑戦致しました!!
結果的には、バックパックに付着した泥・汗・皮脂の汚れから気になる匂いまで、全部まとめて撃退できましたので、その方法をご紹介したいと思います。
これからバックパックを洗おうと思っている方のご参考になればと思います(*'ω'*)
洗濯前の状態
今回わたしが洗ったのは、if you haveの「hug」という登山用バックパックです。
hugの詳細については、以前記事にしました✦↓
大変使い勝手の良いお気に入りのギアです。
そんなhugの洗濯前の状態は、こんな感じでした。
遠目から見てもわかるくらい、全体的に汚れています。
フロント・サイドポケットとバックパック底部は、一番土などに接触しやすい部分だからか、特に汚れているのがわかりますね…。
これね。
洗剤をつけた布で拭き取ってもなかなか落ちてくれない厄介汚れなんですよね。
バックパック上部はこんな感じ。
フロントと底部に比べれば、あまり目立つような汚れはなさそう。
が。
よっく見ると汚れがちらほら…。
ロールトップなので、口のところは一番よく手で触る部分です。
そのため、手の汚れや皮脂やなんやらが付きやすく、黄ばみというか茶けというかが出やすい部分でもあります。
(カメラワークが上手くなくて汚さが伝わらない…クソウ…。)
それから、とにかく匂いが気になりました。
なんて言うんだろう…汗の匂いでもないし、土の匂いとも違うんですけど…。
使い古した匂い?
とにかく色々な匂いが混ざって、あまりよろしくない状態でした。
そんなhugちゃんを、今回はざぶっと洗ってぴかぴかいい匂いにするぞ~!
登山用バックパックを洗う!
①使われている生地をチェック
丸洗いに入る前に、まずは自分のバックパックに使われている生地をチェックします。
(生地によって洗い方も変わってくるかと思いますので…。)
わたしのhugに使われている生地ですが、公式HPでも公開されている通り、X-PACとCORDURAというものになります。
*CORDURAについて
米国のインビスタ社が製造販売しているナイロン素材。
軽量で撥水性があることが特徴(※完全防水ではないので注意)。
また、X-PACに比べて摩擦・擦り切れに強く、耐久性が高いです。
CORDURAの強度はD(デニール)で表記され、数字が大きいほど生地が厚く、重くなります。
参考:CORDURA(コーデュラ)とは、どんな素材?特徴やお手入れ方法まで解説|トートバッグ工房|販促・ノベルティ用のエコバッグ専門店
今回はこのX-PACとCORDURAを洗濯していきます。
その他の生地については、今回ご紹介する洗い方とは異なるかと思いますのでご注意ください。
②注意事項
X-PACとCORDURAのお洗濯には注意事項があります。
それは、基本的に洗濯は自己責任で行うということです。
というのも、特にCORDURAにおいては洗濯はあまり推奨されていないからです。
どうも洗いすぎると加水分解を起こし、撥水性が低下する恐れがあるようです。
参考:CORDURA(コーデュラ)とは、どんな素材?特徴やお手入れ方法まで解説|トートバッグ工房|販促・ノベルティ用のエコバッグ専門店
またX-PACに関しても、汚れは「中性洗剤を含ませたタオルで優しく拭き取る」ことが推奨されています。
丸洗いにしても、「優しい水流で流す」とか「優しくもみ洗いする」といったような、かなりの丁寧洗いが求められているみたいです。
参考:大注目の素材「x-pac」を大特集!その特徴や種類、おすすめ商品を徹底解説! | 暮らし〜の
でも今回わたしが行った洗い方は、がっつり洗剤を使ったじゃぶじゃぶ洗いです。
結果的にわたしは失敗しませんでしたが、製品によっては生地を傷めてしまう場合もあるかと思います。
「そんなリスク関係ねえ!とにかくバックパックを綺麗にしたいんじゃ!」って方は、今回のわたしのやり方がご参考になればと思いますが、洗濯で絶対に失敗したくないという方は、購入したお店やクリーニング店などに相談すると良いかもしれません。
(でもさあ、山の上であれだけハードに使うバックパックなのに、汚れを落とす時だけは「やさ~~しくやさ~~~~しく」っておかしな話だよねえ…とは思う(笑))
③X-PACの洗浄
それでは、いよいよバックパックの洗浄に入ります!
水に浸ける前に、ザックの中身や付属品をすべて取り除いておきます。
hugは、内部の背中側に背面パネルというパネルが入っているので、今回はこれを取り出しておきました。
ショックコードも取った方が洗いやすいですが、わたしの場合は「めんどくせっ」となったので今回はそのまま洗うことにしました(ショックコードも汚れていると思うから洗わないとだよね!うん、そうだそうだ!)。
最初に、バックパックのX-PAC部分を洗います。
X-PACの汚れ落としに使ったのは、頑固汚れの洗浄に定評のあるウタマロ石けん!
我が家では、弟の泥だらけの野球ユニフォームを白くするのに重宝されていた神石けんです。
ホームセンターや薬局等、どこにでも売っていてお手頃価格で買えるのが魅力。
除菌・消臭効果もあります。
成分もとてもシンプルなので安心して使えます。
このウタマロ石けんは、一部でX-PACのお洗濯に推奨されている石けんです。
参考:山と道修理部通信#3 バックパックONEのオーバーホール | 山と道 U.L. HIKE & BACKPACKING
…ただしですね!!
ウタマロ石けんにはリキッドタイプも存在します。
固形タイプが弱アルカリ性に対して、リキッドタイプは中性であるという点で異なります。
アルカリ性の洗剤は、色柄物を色落ちさせたり変色させてしまう可能性があるので、X-PACの洗浄には中性であるリキッドタイプがおすすめです。
ウタマロ石けんの公式サイトでも、大事なものにはリキッドタイプを使うことが勧められていました。
…それなのに…それなのにわたしは…弱アルカリ性の固形タイプの方を、堂々と、それはもう堂々と使ってしまいました。テヘッ
わたしのX-PACは色落ちすることもなかったので良かったですが、皆さんには是非とも液体タイプを使っていただきたい所存です。
さてさて。
まず洗面器にぬるま湯をため、バックパックのX-PAC部分を浸します。
あ、この写真だと左上部が汚れているのがわかりやすいですね。
これがどのくらい綺麗になるのかとくとご覧あれ。
十分水を染み込ませたら、ウタマロ石けんを容赦なく投入します。
(濡れた手で固形石鹸を持つと滑るため、外装フィルムを半分に切って使いました。)
割とガシガシ擦りつける感じでやっちゃいました。
雑なんで。
汚れ落としは歯ブラシを使って行いました。
細かいところも優しく洗えるのでおすすめです。
範囲が広い場合は、スポンジやたわし(は生地を傷つけてしまうかも…?)を使うのが良いですかね。
ロールトップ部分を洗った後の水はこんなに濁りました。
晴れの日も雨の日も風の日も雪の日も使い倒してきましたからね…。
今までちゃんとお手入れしてあげなくてごめんねhugちゃん。
X-PACはバックパック側面にも採用されているため、こちらも同じように歯ブラシで汚れを落としました。
面白いように汚れが落ちていくサマは爽快です。
十分に洗浄したら、一旦ぬるま湯ですすぎます。
石けんの成分が残っていると生地を傷めてしまうようなので、すすぎも念入りに行いました。
④CORDURAの洗浄
X-PACの次はCORDURAを洗います。
繊細(?)なCORDURAには、おしゃれ着専用の中性洗剤エマールを使いました。
家にあるやつは旧モデル(という言い方が適切かはわからないが)だったようで、今は↓のようにパケがかわいくなっています!
この洗剤は大事な衣類用のため、大事なCORDURAも綺麗に洗えるでしょう!という安易な判断で選びました(家にある中性洗剤がこれしかなかったというのもある)。
洗い方のコツなどありません、ざぶざぶっと揉み洗いするだけです。
強いて言うなら擦り洗いはしない方が良いということですかね。
エマールを溶かしたぬるま湯で押し&揉み洗いで汚れを出していきます。
エマールの良い香りにるんるんで洗っておりましたが、ふと見えた水の色が汚すぎて絶句。
どこからわいてきたのやら、葉っぱやゴミも浮いています…。
CORDURAがX-PACの比べ物にならないくらい汚れていたのは、繊維の性質と汚れやすい部分に使われているからでしょうな。
最後に、3~4回ほどすすぎを行って洗浄完了です!
ふ~疲れた!
⑤日陰干し
洗った後のバックパックは、洗濯機で脱水を行うわけにはいかないので、びっしょびしょのまま日陰で干します。
直射日光は生地の色褪せ・劣化につながるので良くないとのこと。
(ほぼ直射日光浴びせてる登山で使っているのに今更何を…って感じですけど。)
脱水をしていないので、こんな感じで水が滴り落ちます。
干すのは屋外が良いかと思います。
わたしは午後3:00頃に干して、そのまま一晩ほったらかしにし(笑)、翌日の日中に取り込みました。
干す時間は天気や場所に左右されますが、複雑な構造をしているバックパックだとなかなか乾きにくいと思います。
わたしのhugは、取り込んでからも室内で何日か干しておきました。
湿った状態で保管するのはカビ・匂いの原因になりますので要注意です。
⑥撥水処理
日陰干しして十分に乾いたら、最後に撥水処理を行います。
生地の撥水性というのは使い込むほど劣化してしまうため、定期的なメンテナンスで撥水機能を復活させるのが大切!
…なのですが…。
結論から言うと、今回はうまく撥水機能を復活させることができませんでしたガーン。
基本的に撥水性のある生地には、どれでも「撥水基」と呼ばれる細かな毛が生地表面についていて、その毛がピンっと立っている状態だとうまく撥水されるようです。
しかし泥やホコリ、人間の汗や皮脂等が付着することで、撥水基同士がペタっとくっついたり、毛が倒れてしまうようです。
これが撥水機能が低下している状態。
撥水基を綺麗にピンっと立たせるには、表面の汚れをしっかり落としてから「熱」を加えることが大切です。
一般的な登山用レインウェアのお手入れでも、最後にアイロンがけやドライヤーをあてたりするのは、この撥水基を熱により立たせるためです。
(レインウェアのお洗濯方法はずいぶん前に記事にしました↓)
だからCORDURAも同じでしょうと独断し、アイロンをかけてみたのですが…。
霧吹きで水をかけてみたら、全然撥水しなかったです。
なんでやねん。
え、CORDURAって撥水基が無い感じですか?
X-PACは防水生地のようなので撥水しなくてもまあ良いとして、CORDURAは防水ではないのでせめて撥水性は復活させたいところ…。
熱がダメなら、手っ取り早いのは撥水スプレーの類をかけることでしょうか。
それか洗浄後の干す前の段階で、撥水洗剤に浸け置きするのもアリ…?
結論が出ないまま今回は諦めましたが、今後もう少し研究したいと思います。
どなたかCORDURAの撥水性を復活させる方法を知っている方がいらっしゃいましたら教えてください…。
ビフォーアフター
洗う前は全体的になんとなくくすんでいたわたしのhug。
撥水性は元通りにならなかったものの、お洗濯の方は成功して見違えるほど綺麗になりました!
新品のごとくピッカピカ!
フロントポケット部分にこびりついていた汚れは…
エマールの力で消し去りました!
艶が出たようにすら見える。
特に汚れが目立っていたサイドポケットとバックパックの底部も…
ご覧の通りめちゃくちゃ綺麗になりました。
ちらほらと汚れが見えていたX-PACはというと…
こんな感じに!
遠目ではわかりにくいですが、確実に綺麗になっております。
端っこの薄茶け部分が、
元の色に戻りました!
泥がついてところどころ汚れていましたが、
すっきり落ちて綺麗になりました。
ウタマロ石けんおそるべし。
洗濯前に気になっていた匂いの方もさっぱり落ちて、ウタマロ石けんの良い香りになっていました。
これでまた気持ち良く山に行けそうです(*'▽')
感想
バックパックを丸洗いしたのは今回が初めてでしたが、洗浄後のhugは新品の状態に戻ったかのような綺麗っぷりで、洗って良かった~と思えました!
今までハードな環境で使ってきたので見えない汚れも沢山ついていたと思いますが、それも全部綺麗に落ちたかと思うとさっぱりした気分です。
石けんの良い香りでテンションも上がります!
大きなバックパックを手洗いするのは確かに大変ですが、洗った後の爽快感は病みつきになりますな…。
また汚れが目立ってきたときには、丸洗いに挑戦したいと思います。