こんにちは。
今日は八ヶ岳の赤岳を県界尾根経由で登った記録です。
赤岳について
赤岳については過去記事をご参考ください。
山行記録
5:20 県界尾根登山口(南八ヶ岳林道終点) ー 5:55 防火線の頭 ー 6:40 小天狗 ー 7:40 大天狗 ー 9:10 赤岳 10:00 ー 11:10 大天狗 ー 12:00 小天狗 ー 12:40 防火線の頭 ー 13:00 県界尾根登山口(南八ヶ岳林道終点)
後輩と行く県界尾根
はじめに
最近報道されている、槍穂高山域での地震による落石・登山道崩壊の被害は、思ったよりも甚大なようで心配ですね。
8月の終わりに父と表銀座を縦走したばかりなので、ヒュッテ大槍直前のトラバース道が地震により崩落し縦走路が現在通行止めときいてびっくり。
8月末に行っておいて良かった~という思いがある反面、わたしたちが歩いているタイミングで地震が起きていたら…と思うとぞっとします。
登山道復旧のための義援金を募集しているようですので、わたしも少しばかりですが協力出来たらと思っています。
さて、表銀座縦走の記録も早く書きたいのですが、なんせ長い旅でしたのでもう少しゆっくり書かせていただきたいと思います(てか書き終わる気がしない)。
今回は9月の大きな山行である、「赤岳県界尾根」について。
高校時代の部活の後輩であるアイと行ってきたので記録したいと思います。
県界尾根登山口へ
朝はアイが迎えに来てくれたので(決して後輩をアシに使っているというわけではないのでねそこんとこよろしゅう)、アイの運転で登山口まで行きました。
今回の登山口は、志木市立八ヶ岳自然の家をさらに登っていた林道終点にある県界尾根登山口。
Google先生の地図には載っていないので、行かれる方はとりあえず自然の家を目指してください。
自然の家より先は一本道なので、林道の終点まで車を走らせるだけ。
詳細は、こちらのサイトがわかりやすかったです↓
ちなみに赤岳県界尾根の登山口は、ここの他に美し森があります。
美し森の方は真教寺尾根との周回ルートに使われることが多く、その分人もそこそこ入ってそうだったので、今回はより静かに歩けるだろう南八ヶ岳林道終点の登山口から登ることにしました。
アイの愛車はキャリアを積んだ軽なのですが、最近ラジエーターが壊れたとかなんとかで、今回はアイのお父様の軽トラをお借りすることに。
20代前半の女子2人が田舎のベンツで登山口に乗りつけます。
これ以上にない玄人感を出してマウントをとっていくスタイル(誰に)。
登山口に向かう未舗装路では、グラデーションの朝焼けを見ることができました。
きれいでした。
それにしても田舎のベンツの未舗装路での乗り心地………(笑)(笑)
走破性は100点。
後輩に運転をさせておいて、わたしは助手席で枝豆チップスを平らげました。
AM4:00台に食べる枝豆チップスはたまらんとです。
なんでこんなに美味しいんでしょう?(ちゃんとアイにも感謝の気持ちを込めておすそ分けしたよ!!)
さて、登山口への林道の途中にはこのようなゲートがあります。
早朝は閉まっているので、カギを手動で開いて通ります。
(帰りは開いてありました。管理人さんかどなたかが開いてくれたようです。)
ゲートからも未舗装路を進みます。
未舗装路と言っても、わだちすらないフラットで幅広なダート初級。
スポーツカーみたいな車が登ってこられるような道なので、一般の車なら特に心配の必要はないかと思います。
そしてこちらが赤岳県界尾根登山口駐車場です。
想像していたよりもかなり広かったです。
砂利ですが林道同様、フラットなのでとめやすいです。
この日はわたしたち含め5台の駐車でした…シルバーウィークなのにこの空き様…。
駐車場には水洗の仮設トイレが完備されていました。
綺麗で匂いもなく、気持ち良く使えました。
県界尾根登山口から大天狗
登山口から、まずは「防火線の頭」を目指します。
この区間はとにかく深い笹薮に分け入るので、朝露でパンツと靴がびしょ濡れになりました。
気になる方には下だけでもレインウェアを履くことをお勧めします。
我々は気にならないタイプなので、「冷たくて気持ち良いね」などと話しながら進みました。
この笹薮ですが、傾斜が緩やかなのでCTを稼げます。
ピンクテープも沢山ついているので迷う心配はなし。
しかし、夜明け前で暗い上に、生い茂る笹のせいで足元の状態が不明瞭なので、たまに石につまずいたり溝に落ちたりしてびっくりしました。
今回は「藪漕ぎ大好きです!」と笑顔で話すアイが先頭を歩いてくれたので安心でしたが…(笑)
登山開始20分ほどで防火線の頭に到着です。
防火線の頭…変な名前ですね…昔ここに防火線でもあったのでしょうか?
頭と言っても森の中のピークなので展望はありません。
ここよりお次は「小天狗」を目指します(*'ω'*)
防火線の頭を過ぎると笹薮はぐんと減り、快適な尾根歩きになりました。
開けた場所からは金峰山も。
五丈岩が小さなツノのように見えます。
朝もやに佇む姿…かっこいい!
それにしても、先を歩くアイが爆走するためついていくのが大変でした(笑)
防火線の頭から小天狗までの区間で、駐車場から先に登っていた2パーティを抜かしてトップに君臨。
「速いね!軽トラの子たちでしょ?」とおじさまに声をかけていただきましたが、思いのほか我々のベンツが目立っていたようで焦りました。
小天狗到着。
ここで荷物を下ろして休憩。
登っている時は暑いのですが、止まると秋山の冷風が身に染みます。
お腹が空いたので細々したものをちゃちゃっと食べてから再出発しました。
次の目的地は「大天狗」です。
小天狗を過ぎるとだんだん赤岳の姿を拝めるようになります。
あのピークにこれから行くの…?
その遠さに絶望。
見る限り険しそうな県界尾根にも絶望。
「ほんとにあそこに行けるんでしょうか?」
ニヤニヤしながら訪ねてくるアイ、険しければ険しいほど燃えるタイプらしい。
赤岳に近づくにつれて、登山道にはダケカンバが増えてきます。
葉が黄色に色づき始めていて、秋の訪れを感じました。
さらにここで、国民的アイドル富士ちゃんのご登場。
こんな遠くからでもこの形を見るだけでパワーをもらえる不思議。
登れば登るだけ傾斜が急になる登山道ですが、なんとか大天狗まで来ることができました。
無論休憩。
休憩している間に、上からソロのおねいさんが下ってきました。
おねいさんにここからの険しい道のりを少し聞き、気合を入れて出発。
いよいよ県界尾根核心部に突入です。
大天狗から赤岳山頂
大天狗からは急登が続きます。
色づいた木々が標高の高さを物語る…(´ρ`)
余談ですが秋山が一番好きです。
山でなくとも秋が一番好き。
ご飯が美味しくて、過ごしやすい気候で、何か新しいことを始めようと思う秋。
秋が1年間続けばいいのになあ。
岩がごろごろした急登を登ると、ふっと開けた場所にこの鎖トラバースが現れました。
この鎖から先赤岳山頂までは、ほとんど途切れることなく鎖・ハシゴ・鬼斜面が続きます。
この区間が県界尾根の核心部になります。
わたしたちは鎖トラバースに取りつく前にヘルメットを装着しました。
アイは登山用ヘルメットを持ち合わせていないため、チャリ用ヘルメットにて挑みます…(笑)
登山用ヘルメットとチャリ用ヘルメットは規格が全然違いますが、ないよりはマシでしょう!
核心部はルンゼ状の鎖場が続くため落石が多いです。
ヘルメットをしない方も見かけましたが、安全を取るのなら装着一択ですね。
鎖トラバースが終わると、間髪入れずに鎖直登が始まりました。
傾斜的には恐怖感を煽られるようなものではないのですが、なんせ足場の少ない一枚岩のようなルートなので、どうしても鎖に頼って登ることになってしまいます。
クライマーはこの足がかりの少ない中でも三点確保のできる場所を探し当てて上手に登っていくんですかね…。
鎖に全体重をかけるのは危ないので、そういう技術を身につけたいものです。
第一鎖場が終わっても、ガレ場に鎖にハシゴがちょこちょこ出てきて心が休まりません。
一瞬トラバースっぽくなだらかになったところでようやくホッと一息。
草紅葉にも癒されます。
なだらか道が終わるとルンゼが現れました。
鎖がついていますが相変わらず足場の少ないいやらしい感じ。
足元には小石がごろごろ溜まっているので、油断するとすぐ落石を誘発させてしまいます。
滑落が怖いというより圧倒的落石への恐怖。
慎重に登りました。
それにしても、氷雪や風雨による浸食でできるというルンゼ地形…自然のパワーに圧倒されます。
あんなに晴れていたのにいつの間にかガスってモヤモヤしていましたが、鎖場への期待でわくわくは健在でした。
鎖を登りきると現れるハシゴ。
県界尾根の中でもこのハシゴは長さのある方でしたが、先が地面についておらず宙ぶらりん状態だったので、一歩登る度にグラグラと揺れて怖かったです(笑)
これいつ外れてもおかしくないんじゃ……。
ハシゴが終わってもハシゴ。
こっちは微妙な角度のハシゴなので、四足動物になった気持ちで登ります。
ぽんと開けたところからは眩しい秋の青空が。
ガスってたのにまた晴れた…忙しない天気です。
急登の鎖場は続きますが、ここまで来るとだんだん足場の少ない岩にも慣れてきました。
山頂直下でトップを交代。
長い鎖は扱いにくいので、臨機応変に使ったり使わなかったりします。
鎖を持つことによって生まれるリスクというのもあるらしい…。
山頂稜線も見えてきて、地蔵尾根ルートを歩く沢山のハイカーの姿と声を確認できました。
斜面の紅葉が美しき!!
横岳の猛々しさに圧倒されました。
鞍部の小屋は赤岳天望荘。
この景色が見られたら、山頂まではあともう一息です!
頑張れアイ、頑張れわたし(∩´∀`)∩
晴れたと思ったら唐突に下から追いかけてくる雲。
最後は半ば逃げるように登りました(笑)
そうしてようやく赤岳登頂です!!Yeah!!
標識のある本当の山頂は写真の奥に写っているピークなのですが、ご覧の通り人であふれかえっていたため、行くのは諦めてこっち側を今回の山頂といたしました…。
これまでほとんど人に会わなかったので、稜線上の人の多さにびっくりでした!
赤岳山頂
個人的には、赤岳山頂に立つのは今回で4回目です。
それなのに、夏の赤岳山頂では快晴だったことがありません(笑)
今回天気予報も良かったので期待していたのに…またガスっぽくてダメでした…(笑)
嫌われてるのかなあ。
そんな中、阿弥陀だけは雄姿を見せてくれました。
地図を見ながら阿弥陀を眺めていると、やっぱりここは南稜から登りたいと思うのです。
山頂ではまったりお昼ご飯にしました。
わたしはおじいちゃんのシャインマスカットをアイに差し入れ。
今年の6月にわたしも摘葉のお手伝いをしたぶどう。
ぶどうを育てるのってとても手のかかることなのですが、おじいちゃんの努力の甲斐あってこんなに美味しいシャインマスカットが毎年できあがります。
長野のシャインマスカット、みんな食べてね!!
下山
お昼ご飯を食べ終わった頃には、山頂付近はずいぶんたくさんの人でごった返していたので、人の少ない県界尾根に帰ることにしました。
県界尾根ね、下る方が何倍も大変です。
鎖にしがみついて懸垂下降的な。
それ以外に下り方が思いつきません。
こう後ろ向きで下るのがすっごい苦手。
下向いて後ろに歩いてると平衡感覚失うんですよね。
ふと顔を上げたら「あれっ普通に平らじゃん」というのがよくある…(笑)(笑)
それでもなんとか下ってきました。
下山こそ落石しないように細心の注意を要しました。
疲れた。
核心部を過ぎてからの下りはそれはそれは長く感じましたが、色んな話をアイとしながら歩くのはとっても楽しかったです✦
おつかれちゃん!
感想
県界尾根はいつか行きたいと思っていたので、一緒に行ってくれたアイに大感謝です。
「一般ルートの中では八ヶ岳最難度コース」と呼ばれている県界尾根。
確かに、初心者が行くにはかなりハードなコースかもしれません。
しかし人が少ないため危険個所でのすれ違いがなく、他ハイカーからの落石(逆も然り)を気にせず歩けるので、他の人気岩場ルート(剱や穂高や槍とかその他諸々)に比べればそういうリスクは低いのかなと。
人がいないということがわたしにとっては最大の「良い山」の基準でもあるので(笑)、このコースはかなり好きなコースになりました。
ただ、鎖・ハシゴが少しでも苦手だよという方は遠慮した方が良いでしょう...。
少なくとも「西側の地蔵尾根や文三郎尾根では全く物足りないよ」という方でなければあまり楽しめるコースではないと思います。
でも裏を返せば、「ちょっと岩場好きかも!」「鎖・ハシゴ得意です」という方にとっては最高のコースです、どうぞお気をつけて入山ください。
総じて最高でした(/・ω・)/
次は真教寺尾根を登ってみたいです(/・ω・)/