こんにちは。
今日は南ア南部を縦走した3日目の記録です。
※10000字を超える超大作なので適宜読み飛ばしてください(笑)
山行記録
4:30百間洞山の家 ー 7:45赤石岳 ー 8:20小赤石岳 ー 9:05大聖寺平 ー 9:40荒川小屋 ー 11:40荒川中岳 ー 13:05悪沢岳 ー 13:50丸山 ー 14:30千枚岳 ー 15:00千枚小屋
※準備についてと1~2日目の記録は下記をご覧ください。
快晴の南ア縦走
朝
3日目の朝は3:00に起床しました。
…眠い…(笑)
まだ他の部屋の方は誰も起きていなかったので、1人しずか〜に顔を整えました(メイクってほんとだるいよな…ずっと顔に張り付いててくれんかな)。
3:30頃、師匠と一緒に1階の自炊場へ下りて朝ごはんに。
他の宿泊者の方々はみんなお弁当(という名のおにぎり2,3個)を前夜に小屋で作ってもらっていたようで、自炊場は我々が占領させていただきました('ω')ノ
お弁当(という名のおにぎり2,3個)は1,000円です。
荷物が減るので1,000円払ってでもお弁当(という名のおにぎり2,3個)を作ってもらった方がいいかもしれませんね!
#おにぎり2,3個をお弁当って言って売っているのに違和感を感じている
朝食後、身の回りの整理を済ませて外に出ました。
前日までの悪天候はどこへやら、静かに透き通った空に月が浮かんでいました。
お世話になった百間洞山の家。
とても良い小屋でした!
ありがとうございました!
百間洞から赤石岳
この日の行程は、百間洞から赤石と荒川三山を越えて千枚小屋まで歩くロングコース。
累計標高差は登り1500m下り1300mに及ぶハードコースでもあります。
不安ではありましたが、天気の良さがいくらか楽観視させてくれました。
天気ってメンタルに直接影響してきますよね。
太陽は偉大なり。
テン場を抜けるとゴーロになりました。
斜度は…まずまず…(笑)
でもなんてったって青空だからね、さくさくっと登っちゃいますよ!
歩いていると太陽が上がりました。
そこかしこに光の筋ができて、神々しさに心が洗われました。
遠くに見える伊那谷と、中ア。
わたしたちとの間には、数えきれない尾根と谷。
今いる場所の山深さを感じます。
後ろには、前日歩いてきた聖・兎とラスボス中盛丸山。
これを越えてきたなんて我ながら信じられないな( ˘ω˘ )
頭だけ太陽を浴びていて綺麗…素晴らしいお見送りでした。
中盛丸山の北側には、前日巻いてきた大沢岳。
3日目にしてようやく縦走のわくわく感が出てきました(/・ω・)/
百間洞からゴーロを登りきると、急にまっ平らな百間平という場所に出ました。
そしてここで初対面、赤石岳様のご登場です。
えっでかっ。
想像以上の大きさに動揺しました(笑)
この大きな赤石岳が太陽をさえぎっているので百間平は日陰となっており、温度計を見たらなんと10℃でした。
この後風もあって肌寒さを感じ、一度脱いだレインウェアをもう一度羽織ることに。
下界は猛暑だのなんだのって言ってるけど、ここではそんなの微塵も感じないですね。
南には光で満たされた聖岳。
東尾根めちゃくちゃ綺麗!
破線ルートですがちょっと惹かれてしまうものがありますね。
周囲の山々に圧倒されながら、平らな道をゆっくり楽しみました。
百間平、なんてすばらしい場所だろう!
道端にあったチングルマにおはようございます。
足元の小さな世界。
君たちもこの過酷な環境で頑張って生きているのね。
赤石岳のとりつきは北の大斜面のトラバース。
どんなトラバース道かというと、こんなトラバース道です。
これには圧倒されました。
急にどうしちゃったの!?という感じ。
歩くたびにカラカラと鳴る軽快な石の音を楽しみながら登りました。
トラバースが終了すると、間髪入れずにお次はこちら。
the急登。
この登りは(も)かなりきつかったですが、日陰のせいかおかげかヒートアップせずに快適に登ることができました。
そしてこの急登を登りきった稜線で待ち受けていたのは…!!
お富士でございます(*'ω'*)
逆光シルエットお富士…お美しい…。
ぐわっとテンションが上がって、登りの疲れは吹っ飛びました!
さらに登山道の先には赤石岳避難小屋が見えました。
とりあえずあそこで休憩するぞと思うと、急に足取りが軽くなります(笑)
小屋の近くのくぼみにはまだ雪が残っていました。
こんなに日あたりが良くてすぐ融けそうなものなのに不思議ですね。
7:40 無事に赤石岳避難小屋到着です。
屋根のあるベンチにザックを置いてしばし休憩をしていると、外に出ていた小屋の方が帰ってきて「2人とも足取り軽いねえ!びっくりしちゃったよ~!!」とすごく明るく話しかけてくださいました。
どうやら、小屋前の丘の上でわたしたちが到着するところを眺めていたようです(お恥ずかしや(笑))。
最初に話しかけてくださったこの方は、お手伝いで来ているという女性の方。
小屋でこの方とグッズなどを見ていたら(面白Tシャツがたくさんありました!)、管理人さんお2人ともう1人男性のお手伝いさんが帰ってこられました。
赤石岳避難小屋の名物管理人、榎田さん。
体格が良くて白ひげが外国人みたいに見える方ですが、パワフルであったかくてとても優しい方でした。
写真がお好きなようで、iPadでご自身で撮られた色んな山の写真を見せてくださいました(*'ω'*)
もう一人の管理人、後藤さん。
『ちっちゃな山小屋の夏』などの本も手掛ける、榎田さん同様とってもパワフルな方でした。
師匠がこの本を読んだことがあるようで、「面白かったです」と後藤さんに感想を伝えたところ、「嬉しいからサインしてください」と逆にサインを求められていて笑いました(笑)
「俺は後藤さんのサインが欲しかった…」と後でつぶやいてた師匠に、また笑いました(笑)
出身地とか、山小屋のこととか、これからの行程とか、みんなでワイワイ話が盛り上がりました。
人が多くない山域だから、こうやって明るくあたたかく接していただくことが、いつも以上に心にしみます。
思い出になるようにって、写真のポーズをたくさん考えてくれたのにもじんわり…。
後藤さんのアクティブポージングにはびっくり…(笑)(笑)
最後に後藤さんがわたしたちのためにハーモニカを吹いてくださいました。
すごく素敵な音色で、心身ともに疲れが癒されました。
純粋ににわたしたちのためを思っておもてなししてくださった小屋の方々には、本当に感謝です。
今までで一番あたたかい、素晴らしい山小屋でした(*'ω'*)
さて、小屋から目と鼻の先にある赤石岳山頂。
小屋の方々に別れを告げてから、ど快晴の空の下登頂することができました。
写真はたまたま山頂で居合わせたお兄さんに撮っていただきました。
◆赤石岳について
長野県大鹿村と静岡県静岡市にまたがる標高3,121mの山です。
山体を構成するチャート岩盤が赤いことや、山全体が他の山に比べて赤く見える(た)ことからこの名前が付けられたとされています。
赤石山脈の名称は、この山から転用されました。
参考:
山頂からは360度の大パノラマ!
これだけ晴れていると、どこを見れば良いのかわからなくなります(笑)
南アの盟主という名前がぴったりですね。
写真を撮ってくれたお兄さん、お話するとこの日は百間洞に泊まるとのことでした。
わたしたちが百間洞から来たことを伝えると、名物とんかつの話題になって盛り上がりました。
やっぱりあそこのとんかつは有名なんだ…是非食べるべしです✦
赤石岳から荒川小屋
圧倒的稜線。
手前のピークが小赤石岳で、その先に荒川三山、さらに奥には仙丈ヶ岳・塩見岳・間ノ岳・農鳥岳が見えています。
ここまでの規模感は南ア特有と言っても過言ではないくらい、すべての山が他では感じられないほど大きく迫力がありました。
振り返っての赤石もコレですからね…。
3,000m級の稜線は次元が違いました。
異世界にワープしてしまったような、不思議な感覚になりました。
8:20 小赤石岳登頂です。
「小」とか言いながらもしっかり3,000mありますからね?
ここでは「小」の概念が違う(笑)
小赤石を越えると肩までだらだらと下ります。
途中で10数名の団体さんとすれ違いました。
みなさん本当にお元気で、「どこから来たの~?」「どこに行くの~?」とたくさん話しかけてくださいました(*'▽')
聖から縦走してきたことや、これから千枚小屋まで歩くことを話すと、「すごいわ~~!!」と突然拍手喝采に(笑)(笑)
南アを歩く人たちは、ほんとにみんな元気で明るくて楽しい人たちです。
そうは言っても拍手喝采はさすがに恥ずかしかったので、お礼を言いながらそそくさ立ち去りました(笑)
歩けど歩けど一向に近くならない荒川三山。
この時はとても果てしない道のりに見えました。
(…いやまあ実際果てしなかったんですけど(笑))
小赤石の肩からは一気に下りになります。
ここからは荒川前岳の主稜線から外れ、大トラバースしている登山道が良く見えました。
その先には赤い屋根の荒川小屋。
見えていると頑張れるような…逆に遠く感じるような…(笑)
道端に黒百合を見つけました。
何気にお初にお目にかかります。
黒い花を咲かせる植物は数少ないので、珍しい花で知られていますね。
花言葉は、「愛」「恋」「呪い」「復讐」。
この花言葉わかるな~ってと感じてします、妖艶な花でした。
だいぶ下ってきました。
上から見ても下から見ても大きい山なのね…。
写真は荒川前岳を眺める師匠。
ここからは南斜面が良く見えます。
かなり崩壊が進んでいるようで、地図にも「大崩壊地」の表記があり、崖の記号がずらりと並んでいます。
わたしはどちらかというとこういう山容の方が好みなので、眺めながらにやにやしてしまいました(・∀・)
夏山感があふれ出る鞍部。
ここは大聖寺平という場所です。
あとから来たおじさまが、「ここが一番好きな場所なんだ~」と嬉しそうに仰っていました。
3,000m級の山に囲まれた大聖寺平は、確かに天国みたいな場所でした(天国行ったことないけど)。
下ってきたのはこれ。
これから歩くのはこれ。
標識から稜線を外れてトラバース道になります。
少しの間平らな道が続くので、ホッとできる数少ない場所です。
トラバースの規模も南ア仕様。
前方に見えている悪沢岳が、「早く来いよ」と言わんばかりに煽り散らしてきます(笑)
このトラバース道は容赦ない直射日光と微風だったのでかなり暑かったです。
日焼け止めクリームを何度塗りなおしたことか(;´Д`)
たまに後ろを振り返ると、小赤石・赤石が大きくてびっくり。
ほんと、どの山も大きすぎて何度見ても見慣れないです(笑)
9:40 荒川小屋に到着しました。
とても綺麗で清潔感のある山小屋でした。
南アは入山者が少ないので、山小屋のトイレはどこもとても綺麗です。
小屋前のテーブルとイスをお借りして、大休憩をとりました。
八ヶ岳や北アなどでは、山小屋のベンチは売店や小屋利用者しか使えないようなところが多いですが、通りすがりでもベンチに腰掛けてゆっくり休めるのは南アの良いところですね。
う~ん、着々と南ア南部を好きになりつつある。
荒川小屋から荒川中岳
荒川小屋でおにぎりを食べ(朝自分で作ったやつ)エネルギーチャージ。
そしていよいよ荒川三山を目指します。
小屋を出てからは、これまでの緩やかトラバースとは打って変わって急登が始まりました。
少し登ったところで荒川小屋を振り返ると、背後にはどーんと赤石岳。
雲で陰っており少々怪しい雰囲気が…(笑)
そういえば心なしか朝よりも雲が増えてきた気がします。
このトラバース道は無風で本当に暑かったので、この時は雲の存在がありがたいと感じていました。
それにしても、閉口するような急登。
そろそろ疲労感が大きくなってきました。
しばらく登ったところにお花畑がありました。
柵で囲われており、鹿などから植物が守られていました。
扉を開けて入ります。
柵の中は本当にたくさんのお花であふれていました。
あまり写真は撮っていないのですけど…(汗)
それから、この辺りから見る赤石岳は圧巻でした。
エスケープ道として考えていた大倉尾根も少し見えています。
見る限り険しそう(笑)
あれを下ることにならなくて良かった…青空の神様に感謝。
高山植物に癒され、元気が出た…!と言いたいところなのですが、お花畑もこの斜度なのでかなり体力奪われておりました。
お花の楽園より急登地獄要素が強い。
そろそろ手加減お願いしますよ…。
お花の写真を撮りながら、ここは時間をかけて通過しました。
そしてお花畑の後も急登は続きます。
続くったら続きます。
しかも気づいた時には荒川三山はすべて雲の中に…!!
さっきまでの快晴はどこへやら(涙)
永遠なのではないかと思われる坂道を一歩一歩ゆっくり登ると、ようやく荒川三山の稜線に出ました。
ガスだねトホホ。
この分岐を南へ5分歩いたところに、第一峰の荒川前岳山頂があります。
たった5分です。
しかしこの時の我々にとっては、されど5分でした(笑)
天気も悪く何より疲弊していたので、この標識を我々の荒川前岳山頂にしようということになりました('ω')
あと5分の地点なんて、もう登頂したのと同じ事ですからね!!(?)
標識前ではザックを放り出して休憩。
汗だくになって登ってきたのに、止まっていると冷たく感じるのが山の風。
しばらく休んでいると、しっかりクールダウン&気持ちもリセットされました。
前岳とは反対側へ、この標識を10分歩いたところに荒川中岳の山頂があります。
山頂ではガスがふわっと晴れて、パスしてきた荒川前岳が見えました。
…近…ワンチャン行けたわ…なんて思ってしまいましたが、後悔先に立たず(笑)
荒川中岳から悪沢岳
荒川中岳からガッと下り、今度は悪沢岳を目指します。
前岳と中岳はこれだけ近い距離にピークがあるのですが、悪沢岳だけはずいぶん離れてここから1時間半くらいかかります。
中岳の直下には中岳避難小屋がありました。
こちらも赤石岳避難小屋同様、期間中は管理人が常駐しているようです。
素泊まり10,000円で定員は10名。
避難小屋ですが綺麗ですよね。
この辺りの小屋はどこも清潔感があります。
小屋を下ったすぐのところで、こちらに登ってこられるご夫婦に出会いました。
このお二方も気さくに話しかけて下さり、最後には「若いもん、頑張れ~!」と万歳して見送ってくださいました(*'ω'*)
再三言うけど、南アで出会う人たちはみんな親切で、そして何より元気いっぱい!!
疲れ切っていましたが、あたたかいエールのおかげですごく元気になれました。
進行方向はご覧の景色。
これはこれで、冒険心をくすぐられる荘厳な景観。
この雲に隠されている悪沢岳は、さぞいかつい出で立ちをしているのでしょうよ。
心の目で見て気合を入れなおし。
コルまで30分ほど下りました。
悪沢岳の登り初めのところで一旦ザックを下ろして休憩。
(休憩しすぎっていうツッコミはやめてね?(笑))
地図を見て、千枚小屋までの道のりを再確認。
例のごとく遠すぎて絶望。
この3泊4日の大縦走、道中何度絶望させられたかわかりません(笑)
こんなに絶望しながら歩くこと滅多にないよ…貴重な体験だ(あくまでポジティブにね)。
悪沢岳の登りですが、まさかのここにきて手を使って登らせてくるタイプの急登でした。
非常に非情。
「ひどいよ!」と口では言いながらも、もはや面白くなってしまって笑いが止まりませんでした(笑)
浮石が多く歩きにくい道です。
疲れてスピードも上がらないので、ゆっくり安全第一で登ります。
途中でソロのお兄さんとすれ違い、「ライチョウがいますよ」と教えていただきました。
珍しく機敏に動くライチョウでして、写真を撮れなかったのが残念。
お兄さん曰く「上に20羽くらいの集団がいてすごかったですよ!」だそうですが、わたしたちは一足遅かったようです。
こんな感じでトラバース気味の岩場もありました。
百名山のグレーディングでは技術的難易度Dレベルとなっている荒川三山。
しかし、同じDレベルの八ヶ岳赤岳県界尾根や、南ア甲斐駒ヶ岳黒戸尾根に比べると、そこまで難しい感じではないのかなという印象。
それよりも体力が必要ですね、ここは。
中盤でサルの大群に出会いました。
近づくと大抵は逃げていくのですが、今まで見たことのないくらい大きな群れだったので少し怖かったです。
幸い何事もなく通過。
どんなにきつい登りでも、一歩を止めなければ必ず山頂にたどり着けるもの。
もやもやの先に、ピークらしいものが見えてきました。
ここで師匠が先頭を交代してくれ(どこまでも紳士)、先にピークを踏ませていただきました!!
ほんとに虫の息みたいな疲労具合でしたが(笑)、標識を見た時は達成感と安堵でため息が出ました。
はい、この旅最高峰、悪沢岳登頂です。
◆悪沢岳について
荒川三山の最高峰、標高3,141mの山です。
山から続く急峻な谷を、その昔猟師が悪沢と呼んだのが山名の由来とされています。
北アの槍ヶ岳に次ぎ、日本で6番目に標高の高い山です。
参考:
悪沢岳|南アルプス最大級の花畑を楽しむ登山コースと山小屋情報! | 【YAMA HACK】日本最大級の登山マガジン - ヤマハック
南アの名峰で、深田久弥の『日本百名山』にも紹介されています。
わたしが初めて悪沢岳の存在を知ったのは3年ほど前。
友達と八ヶ岳の赤岳に登った時、山頂で「毎週愛知から信州周辺の山に通っている」という(割とぶっ飛んだ)お兄さんにお会いしました。
その時お兄さんは八ヶ岳日帰り縦走の真っ最中で、「これから蓼科まで歩くんだよ~」と楽しそうにお話していたのが印象的でした(ね、ぶっ飛んでるでしょ?(笑))。
しばらく山頂で世間話をしていたのですが、アルプス山系はほとんど登ったと仰っていたので、「今まででどの山が一番良かったですか?」と聞いてみました。
「難しい質問だなあ」と笑いながら、そのお兄さんは最終的に「悪沢はすごく良かったよ」と教えてくれました。
それからずっとわたしの頭の隅っこにあった「悪沢岳」。
毎週信州の山を歩き回っているというお兄さんが「今までで一番」という山なんだから、それはそれは素晴らしい山に違いない、と、登頂できる日をずっと楽しみにしていました。
ちょっとね、雲多めで周囲の山々を望むことはできなかったんですけど。
それでも十分なくらい「良い山」でした。
赤岳で出会えたお兄さんに感謝です。
山頂にあった大きな岩の上に座ってしばし達成感に浸りました。
帰ってから悪沢岳のページを読んでみました。
深田さんは山の呼称にこだわりがあるようですが、悪沢岳のことも下記のように書いてありました。
読者にお願いしたいのは、どうかこれを東岳と呼ばず、悪沢岳という名で呼んでいただきたい。一たい東岳という平凡な名はいつ付けられたのであろう。おそらく荒川岳の東方にある、一峰とみなしたに違いない。しかし荒川岳の続きと見るにはあまりにこの山は立派すぎる。南アルプスでは屈指の存在である。
…(笑)
別に東岳でもわたしは良いと思うけどな。
こっちの名前の方がかっこいいっていうのは、個人の価値観でしかないので。
…とか言いながら、わたしも悪沢岳と呼んでいるのですが(笑)(笑)
山頂に到着した時は奇跡的に青空も見えていたものの、ぼーっとしていたらいつの間にか一帯は薄いガスに包まれてしまいました。
なんとも忙しない天気に翻弄されてしまいますね。
この後は丸山と千枚岳が待っていたので、重たい腰(まじで重たい)を持ち上げて出発となりました。
悪沢岳から千枚小屋
悪沢岳、下りは大ゴーロ帯でした。
巨岩があちこちにごろごーろです。
南アは岩の規模も違うのか。
やっぱりどの岩も赤みを帯びています。
赤色チャートかな?
20分下ったら丸山がありました。
おっと、こんな拍子抜けタイプのピークもあるのね。
標識には千枚小屋まで90分の文字。
ああ、まだ90分…(笑)
丸山以降は岩の大きさも普通サイズになり、道幅も広がったのでサクサクと下りました。
千枚岳の登りに差し掛かったのは14:00を過ぎた頃です。
ここまで休憩含め、行動時間は10時間になろうというところ。
近年稀に見るハードワークに足の裏が激痛で泣きそうでしたが、師匠とたまに交わす冗談で笑顔を取り戻し、この激登もなんとか頑張りました。
しかし、終盤でとどめの一撃を受けるのでした。
ここにきてハシゴ…て…。
「ちょっとキレそう」と言ったら、「もうキレてるでしょ」と師匠。
笑いながら上らせていただきました。
ちなみに見た目より高度感があってヒヤッとしたので、心して登ったほうが良いと思います(笑)
千枚岳山頂手前では、ほぼ倒れ込むようにして地べたで休憩。
もうしばらく歩くという行為はしたくないと、心底思うのでした。
この山も天気が良ければ素晴らしい眺めがあるようです。
この時はガスってることなどもはやどうでもよく、とりあえず早く千枚小屋に行きたいということしか考えられませんでした、余裕ない:;(∩´﹏`∩);:
千枚岳から千枚小屋へは40分ほど下ります。
樹林帯に入るのでほとんど景色はありませんが、ダケカンバのトンネル道は平らで歩きやすく、とっても綺麗でした。
木々の間から下の方に千枚小屋の屋根がチラ見えしていました。
見えてからが遠いというお決まりのヤツ。
足裏の激痛に耐えながら下るのは本当に辛かったです。
もう特大の駄々をこねたくなりましたっ。
15:00 やっとのことで千枚小屋到着です。
出発から約11時間、累積標高差 上り1524m/下り1370m(YAMAPによる)。
今回ばかりは死ぬかと思いました!!!!
でも生きていました!!!!
やればできる子!!!(自我大自賛)
千枚小屋
受付
千枚小屋も、広い玄関を入った正面に受付がありました。
◆千枚小屋について
1993年と2009年に2度焼失しており、現在の建物は2012年に再建されました。
客室は3階建てで、梯子で上り下りします。
<基本情報>
収容人数:80人
開設期間:7月中旬~10月中旬
素泊まり:¥10,000円/人
テント泊:¥2,000円/人
テント設営数:30張
参考:
玄関を入ると、受付・売店待ちの列ができていました。
ここまでほとんど人に会わない山旅だったので、この混雑具合にはびっくり。
土曜日だったので、1泊で千枚に登りに来ていた方も多かったと思います。
疲れていて早く休みたかったですが、仕方ない、並ぶか…。
しかしようやくわたしたちの番になったものの、「これに記入してください」と宿泊用紙を渡され、また並びなおしになりました。
ちょっとこの対応には悲しいものがありましたね…:;(∩´﹏`∩);:
宿泊用紙は玄関のところに置いておいて、記入が終わってから並んでもらう方が良いんじゃないですか?と喉まで出かかりましたが(笑)、受付を終えたらどうでもよくなったので速攻テン場に向かいました。
もう、疲れているのでね!!早く座って休まないと命の危機が迫っているのでね!!!!(笑)
テント設営
テン場は小屋から5分ほど小道を下ったところにありました。
広場というよりは、木々の間にあるスペースを各々で見つけて張っていくという感じです。
ぱっと見えているスペース以外に、意外と下の方まで良い感じのサイトがあるので、よく探して張ると良いと思います。
到着時には結構埋まっていたのですが、幸運にもちょうど良い広さのサイトを見つけて無事設営完了。
木に囲まれており、他のテントと適度な距離がある良いところを取れました(*'▽')
2日ぶりのびっしょびしょテントを張って、その他もろもろのギアたちも乾かしました。
ひと段落したところで、師匠が奢ってくれた(やっぱ紳士)コーラで乾杯。
超絶美味しかった!!
頑張って良かった…ごちそうさまです(泣)
さてテントですが、2日前の聖平の雨で中までびたびたになっており、ただ張るだけではなかなか乾いてくれませんでした。
そこで師匠が取り出したのが「ガスバーナー」。
これをテント内でがんがんに焚くと、あっという間にテント内は蒸し風呂状態になります。
で、あっという間に乾いちゃいました。
素晴らしい知恵ですっ。
端の方はちょっと濡れていますが、他はカラカラになりました。
ただ、この方法は火災などの事故原因になる可能性があるので、どうしてもの時に限ります。
そしてもちろん自己責任でよろしゅう。
トイレ・水場について
水場とトイレは小屋の隣にあります。
夜中トイレに行きたくなったとしたら、5分ほど山道を歩かなければなりませんので、少しだけ不便です。
でも、鹿島槍の冷池山荘や甲斐駒の七丈小屋に比べればマシな方かもですね。
トイレは人が多いせいか汚れ気味でした。
ただこれまでの山小屋が全部異常に綺麗だったからそう思うだけで、まあ普通の山のトイレって感じだったかも(笑)
水場はトイレの手洗い場と兼用で、聖平、百間洞同様蛇口から汲めました。
やっぱり天然水は美味です♡
夜
テントで着替えや荷物の整理などをしていたらあっという間に夜になりました。
テントの外で師匠と並んで夜ご飯に。
師匠に分けてもらった炭火焼き鳥が美味しすぎて感動しました。
長期縦走の時は、鶏肉やプロテインなどでタンパク質を毎日摂取することを心がけているという師匠。
下山後にタンパク質の重要さが身に染みてわかったので、今度からわたしもタンパク質を重視して食料計画を立てようと誓いました( ˘ω˘ )
就寝は20:00~21:00頃だったと思います。
疲れていましたが、テン場が静かすぎてなんだか落ち着かず、寝つきが悪かったです。
…疲れすぎていたのかも?(笑)
長かった1日のひとコマひとコマが、目を瞑ると走馬灯のごとく流れていきました。
辛すぎた行程も、この時にはまた思い出の1つに…。
とにかく無事に歩ききれて良かったです。
3日目の記録は終了!
長い話にお付き合いいただきありがとうございました✦
次回は千枚小屋から椹島へ下った記録です。