やまとりにっき

山登りやお出かけを中心とした日々のあれこれです

<山行記録> 北八 中山・天狗岳 1日目 ~初冬八ヶ岳小屋泊の旅~ 2021.11.12

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こんにちは。

今日は北八ヶ岳の中山・天狗岳山行1日目の記録です。

山行記録

7:00稲子湯登山口 ー 8:15しらびそ小屋8:55 ー 10:20中山峠 ー 10:50中山 ー 10:55中山展望台 ー 11:00中山11:45 ー 12:10中山峠 ー 13:00しらびそ小屋

 

静かな初冬の山旅

はじめに

この間、親友マキノと一緒に2日間北八ヶ岳を楽しんできました。

1ヶ月ほど前に現地で口頭で予約させていただいた「しらびそ小屋」を基点に、1日目は中山へ、2日目は天狗岳へ登るという贅沢プラン。

美味しいもの、綺麗な景色、素敵な山小屋……等々に癒されまくった旅になりました。

今回は1日目の記録ということで、稲子湯→しらびそ小屋→中山→中山展望台へ登り、しらびそ小屋でのんびりお泊りしたことを書かせていただきます(*'ω'*)

 

稲子湯からしらびそ小屋

朝の6:30頃、稲子湯の登山口駐車場から出発進行。

駐車場は平日なのでスカスカでした(有休勝組)。

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2日間お世話になるマキノ

このルート、今年マキノと登るのは3回目です。

 

しらびそ小屋までは1時間ほどの単調な道のりですが、歩きやすいので話がはずみました。

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途中2人組のおじさま方がやってきて「君たちどこに行くんだい」のお決まりトーク

聞くとお2人は天狗岳を目指すそう。

中山峠までは一緒ですね。

 

こまどり沢で一息つきました。

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小屋泊と言ってもこの時期防寒用具が多く、ぱんぱんになった35ℓほどのザックをひぃひぃ言いながら2人で担ぎあげていました(笑)

重い荷物というのは何度背負っても慣れることはありません(;´Д`)

 

足元の大量の霜柱は、踏みしめる度にザクザクと軽快な音を立ててくれます。

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霜柱は『毛細管現象』によってできる自然の神秘です。

立派な霜柱を見つけるとついつい手に取ってみたくなってしまう…。

 

そこそこの勾配があった登山道が平坦になったところは、もうじき小屋が見えてくるはず!と期待が高まるポイント。

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日陰には凍結した水たまり。

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もちろん全部踏みつけにした

 

そしてしらびそ小屋は、いつも通りみどり池のほとりにひっそりと佇んでいました。

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みどり池を挟んで見えるはずの天狗岳は、残念ながら頭を雲の中に隠しています。

しらびそ小屋の扉に「本日定休日」と書かれているのは、前日の木曜日が定休日だったから。

 

最初に出迎えてくれたのはホシガラス。

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小屋前のダケカンバの木の枝が定位置のようで、ちょこんととまっている姿がかわいらしかったです。

 

これから中山に向かうため宿泊道具をデポさせていただきたかったので、朝早くに申し訳ないとは思いながらも、ちょうど朝ご飯を食べていたご主人に声をかけました。

口数少ない素朴なご主人、今井孝明さんは暖かく迎えてくださり、出発前には小屋で淹れた杜仲茶をふるまってくれました。

今井さんのお隣で一緒に食事をされていたのは、双子池ヒュッテのオーナー(米川さん?)だそうで、小さなランプが灯る山小屋の雰囲気が良く似合うお2人だなと思いました。

 

ちなみに宿泊道具は、宿泊棟の玄関脇にデポらせていただきました。

 

この時の気温は-3℃くらいでした。

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寒いね!

 

しらびそ小屋から中山・中山展望台

今井さんに「気をつけてね」と見送られ、中山展望台を目指して防寒対策ばっちりでしらびそ小屋を出発。

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みどり池を横目に…

(でも途中で暑くなってフリースを脱ぎました(笑))

 

しばらく歩くと、粉砂糖をふるったように地面が真っ白になりました。

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今シーズン初雪山にテンションが上がるマキノ

 

雪も降り出していましたが、チェンスパはまだ必要ないレベル。

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濡らしたら小屋に迷惑がかかると思ったので、ザックカバーだけはしっかりかけました。

 

一眼レフもザックに収納してしまい、この辺りはiPhoneSEの写真です。

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絵になるマキノ

そろそろPENTAXの防塵防滴耐寒の一眼レフ欲しい…。

 

稜線が近づくと、風の音が聞こえるようになりました。

中山峠直下の急斜面からみた稜線の木々は、皆ゆさゆさと風に揺れていて、見ているだけでも寒気がします。

 

ということで、ここでフリース×上下レインウェア×チェンスパ装備に変身。

こちら側は風がないので、雪山初心者のマキノでも時間をかけてばっちり耐風対策ができました。

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冬の西風をさえぎられる点は、このルートの良いところです。

 

マキノのウェアはブラックダイヤモンドのファインラインストレッチシェル。

これ、個人的にいいなっと思ったのは、レインウェアなのに冬山用ハードシェル並みに襟に高さがあること。

これだけ高さがあれば顔周りの防風になるので、冬山用のハードシェルとしても十分使えそう。

 

中山峠は思った通り暴風でした。

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稜線出た

序盤でお話した2人組のおじさま、この風で天狗はさぞ大変だろうなと少し同情してしまいました…。

無事を願いながら、わたしたちは反対の中山へ歩きます。

 

稜線上は木々に張り付いたたっくさんの霧氷が印象的でした。

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天気は良くなくても、神秘的な霧氷が稜線歩きを楽しませてくれました。

 

前を行くマキノ、薄手の手袋では寒かろうと思いテムレスを貸してあげたらご機嫌で歩いていました。

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防寒テムレス最強。

 

展望ポイントからが霧展望でも、へこたれずに進みました。

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霧展望

 

中山は何度も来たことがありますが、山頂が森の中にある大変地味な山です。

申し訳程度に置かれた山頂標識は、見逃して通過してしまう人もいるくらい。

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「ここ山頂だよん」というわたしの声に対して「えっ」と驚くマキノも例外ではありません(笑)

 

とりあえず山頂はスルッと通過し、少し先に行った中山展望台で写真を撮りました。

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木がない広場なので爆風の極寒でした。

一瞬で引き返しました(笑)

 

お昼ご飯

引き返してきて、風を防げる樹林の中山山頂でお昼ご飯にしました。

 

今回のメニューは『カニカマ雑炊』です。

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使う水の量が多すぎましたが、美味しくできて温まりました!

 

作り方は下記を参考にさせていただきました。

カニカマ雑炊:山めしレシピ ごはん:山めし礼讃 - 山料理 山ごはんレシピの記 -

 

中山・中山峠からしらびそ小屋

食事後はまったりしたいところですが、あまりの寒さに耐えられず、震える手で急いで食事の片づけをし、さっさと下山に取り掛かりました。

 

この頃には天気は幾分回復し、展望スポットからも雪を被った山を見通すことができました。

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雪が止んだので一眼レフを再装備。

 

ふいに太陽が出て木漏れ日を浴びると、すっかり冷え切った体でもグッと体感温度が上がるのだから不思議です。

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太陽の偉大さが骨にしみるぜ。

 

ニュウとの分岐では青空まで見えました。

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あ、青空

良い兆し。

明日は快晴の天狗岳登れるかな~。

 

中山峠前の開けた場所では、お腹がいっぱいになって眠気に襲われているマキノに「あれが天狗岳だよ」と山名ガイド。

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寝るな、死ぬぞ

マキノはとにかくよく寝ます。

この間車内で会話をしている途中に、助手席で眠りについていました。

会話の途中で寝る奴は初めて見ましたが、良い、寝る子は育つのでね!

 

中山峠に戻ってきました。

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平日だしこの天気だし、ここまでで2,3パーティしか会いませんでした。

随分静かな山旅です。

 

ここからは、しらびそ小屋泊を楽しみに東斜面を下りました。

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急斜面が終わったところでチェンスパは外しました。

 

途中で朝会ったあの2人組のおじさまが倒木に腰かけてお昼ご飯にしているところに遭遇。

風のない斜面で温かいご飯を食べ、いくらかホッとした表情で「天狗はものすごい風だった」と語るお2人。

陽気で面白く、こちらまで楽しい気分になりました。

ありがとうございました。

 

しらびそ小屋に帰ると、朝と同じようにご主人の今井さんがいらっしゃたので、帰りましたのご挨拶。

「寒かったでしょう」と労わってもらいました(笑)

「ただいま」と自宅に帰ったような気持ちで、なんだか新鮮でした。

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お世話になります

 

しらびそ小屋泊

3番の部屋

わたしたちが案内されたのは3番の部屋。

さっそく2階にある部屋に行くと、もともと大部屋だったところを仕切りで区切った形の部屋が3つ並んでいました。

 

3番は向かって一番左側。

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部屋の中には2人分の布団と寝袋が用意されていました。

布団と寝袋は、使用する場合はコロナ対策としてインナーシーツが必要です。

小屋で購入もできますが、シュラフを持っている人は持参すればインナーシーツは必要ありません。

わたしたちは夏山用のシュラフを持ち込んでいたのでインナーシーツは使いませんでした。

 

部屋の中は2人分の荷物と大人2人が寝そべってちょうどぴったりのサイズ。

扉の代わりに出入口はのれんですが、お隣さんとの仕切りがかなりしっかりしているのでほとんど個室と同じ感覚で快適に過ごすことができました。

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仕切り

到着時は電気がまだつかなかず(たぶん節電のため)、暗がりでの荷物整理には苦労しました(笑)

少し経つと小屋の女将さんが電気を入れてくれて、小さな電球に明かりが灯りました。

スイッチを入れれば明かりが手に入るのが当たり前の下界では、感じることのできないありがたさです。

 

のんびりした

部屋に荷物を置いて、着れるもの全部着込んで玄関外の机でホットココアを飲みました。

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シナモンスティックを使ってひと手間加えることで、エスニックな大人ココアになります。

冬山で手軽に温まれるおすすめドリンク!

 

ココアを飲み終わった頃、本日一緒にお泊りするもう一組のパーティが到着されました。

この日はわたしたちとこのパーティと2組だけの宿泊です。

 

たくさん着こんでいても外にいると寒いので、玄関を入ったところにあるストーブで暖をとりました。

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玄関の中にはストーブと長椅子

 

ストーブはペレット式。

ペレット燃料は自動で足されるので、薪ストーブより手軽かもしれません。

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ふんわりした火の温かさが心地よすぎて、ストーブの前でうたた寝したいくらいでした。

 

16:00頃に一度外に出て、みどり池の様子を見てきました。

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相変わらず天狗岳は雲の中ですが、しんと静まり返ったみどり池には感動しました。

カモが一羽、波紋ひとつない水面に浮かんでいて、潜ったり止まったりしていました。

水面は若干凍り始めていたので、次の日の朝にはどのくらい凍っているのかが楽しみになりました。

 

止んでいた雪は再び降り始めていました。

小屋前のテーブルの上には、沢山の雪の結晶。

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小さいですが、ピントを合わせてあるのは代表的な「樹枝六花(じゅしろっか)」形の結晶。

雪の結晶は、大分類8種類・中分類39種類・小分類121種類の形に分けられるのだそうです(下記参照)。

気温や湿度で形が変わるみたいで、しらびそ小屋のテーブルの上でもいろんな形をしたたくさんの雪の結晶を見ることができました。

 

参照:

「雪の結晶」の形から空のようすを推理しよう! | Honda Kids(キッズ) | Honda

 

わたしが撮った結晶はこんな感じでしょうか?

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雪の結晶を同定する日が来ようとは…。

 

テーブルの上の世界に魅了されたひと時でした。

 

夜ご飯

一泊二食つきの宿泊だった今回のしらびそ小屋。

夕ご飯は6:30からということで、階段を下りて行ったところにある食堂に集合しました。

 

メニューはこちらですジャジャン!

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これ全て、小屋の女将さんの手作りです。

 

アジフライがメインのプレートは、ボリューミーで栄養満点。

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汁物にはおでんという、この時期ならではのあったまるメニュー。

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だいこんがしみっしみで美味しかったです。

 

電気もガスも満足に使えない山小屋で、こんなに元気の出るご飯を作るのはとても大変なことだと思います。

女将さんに深謝。

ご馳走様でした。

 

就寝

夜ご飯をいただいた後は部屋に戻り、歯磨きをしてから就寝の準備です。

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小技ですが、山では歯磨き粉が使えないのでハッカスプレーを水に混ぜて口をゆすいでいます。

ハッカのメントールのおかげで口の中がスカッとさっぱりするのでおすすめ。

 

就寝には、小屋の布団(敷布団・掛布団・枕)と小屋のシュラフと自分のシュラフ(インナーシーツ代わり)を使いました。

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マキノ就寝準備中

 

窓際ということもありかなり寒かったので、この寝床+上5枚、下3枚の服を着こんでの就寝です(笑)

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それでも寒い

 

消灯後はこの日の山行の疲れもあってすんなり眠りに入りましたが、夜12時頃に暑くて目が覚めました(後で聞いたらマキノも同じだったらしい)。

熱が出たかと思うくらい暑かったので(着すぎ)、シュラフから腕を出したらちょうど良く、そこから再び眠りにつくことができましたが、2時間後の深夜2時に今度は寒くて目が覚めました(後で聞いたらマキノも同じだったらしい2回目)。

2枚のシュラフを頭から被っても、じわじわとしみてくる寒気に睡眠が妨害されてしまう…。

このまま朝まで眠れないのかな…と絶望していた頃、小屋のスタッフさんがファンヒーターのスイッチをつけに来てくれました。

これはさすがに神様到来かと思いましたアーメン。

ファンヒーターの熱気ですっかりあったまった部屋。

おかげさまで朝までぐっすり眠ることができました。

わたしには雪上テント泊は無理だなあと、しみじみ感じました(笑)

 

これで1日目は無事終了です!

次回は2日目の記録✦

お楽しみに~('ω')