こんにちは。
今日は、北アルプスの焼岳南峰に登った記録です。
焼岳について
焼岳については過去記事をご覧ください。
山行記録
7:50 新中の湯登山口 ー 9:30 広場 ー 11:20 焼岳南峰 11:40 ー (弱層テスト) ー 13:50 新中の湯登山口
焼岳南峰へ
はじめに
GW中の山行は全部楽しかったので全部記録に残しておきたいのは山々なのですが(山だけに)、やっぱり忙しくてそれは現実的ではないので、特に印象に残った焼岳山行だけ記録しておくこととします。
GWの真ん中に、山の師匠こうさんと、師匠のお友達のYさんと、わたしの会社の同期の北村パイセンと一緒に北アルプスの焼岳に登ってきました。
焼岳で一般的に登られているのは北峰なのですが、雪がある時期限定で南峰に登ることができるため、今回は南峰を目指して頑張りました✦
新中の湯登山口から広場
当日は松本でこうさん・Yさんと落合い、こうさんのかっちょいいSUVで新中の湯登山口を目指しました。
上高地を過ぎて旧道へ入ると、カーブの連続する急坂になります。
道は若干凍っていたので、この時期はまだスタッドレスがいりますね。
登山口前に駐車スペースがありましたが、ぱんぱんだったのでその路肩に駐車しました。
車から降りると道路がつるつるでこけそうになって大焦り。
先に到着していた他パーティの方は転倒しておりました。
登山始まる前に怪我とか笑えないからな…。
まだ着替えも済んでいない師匠たちをゆっくり待ちながら(朝急いで出てきたから登山の用意してなかったらしい)、準備しました。
この間西穂独標に行って以来、まともにアイゼンを使うような山には入っていなかったので、何日ぶりかに履く冬靴の重みが足にぐっときて気合が入りました。
登山口はこちら。
7:50頃出発です。
しばらくは樹林帯を歩きます。
登山道はところどころ雪解けが進んでいましたが、森の中にはたっぷりの雪がモフッと積もっていてとても綺麗でした✦
まだ雪景色楽しめるの最高じゃない?
傾斜はそれほど厳しくないので樹林帯はチェンスパで十分。
木漏れ日が意外と眩しいのでサングラスを装着。
残雪期ということで気温は高めでした。
厳冬期の骨にしみる棘のような寒さがないだけで、浮かれて鼻歌を歌っちゃいそうですなあ…。
本日も先頭はお師匠におまかせです。
その後ろを、わたし、北村パイセン、Yさんの順に続きます。
最近カメラを買った北村パイセンは、嬉しくて写真をたっくさん撮っていました(笑)
彼も良い写真を撮るのですが、それはまた後でご紹介します。
歩き始めて1.5時間ほどたったころ、広く開けた休憩スポットに到着しました。
ここが広場と呼ばれる場所です(いや安易なネーミングよ)。
ここで初めて焼岳山頂稜線とご対面。
思わず「おお…」という声が漏れ出るほど迫力がありました。
雪山初心者の方や装備がない方は、この広場を目的地に散策しても楽しめるかもしれませんね!
焼岳って個人的にはあまり惹かれなかったのですが(笑)、間近に見ると火山というのは見ごたえがあってよいですな…見直した!(何目線だよ)
広場から焼岳南峰
広場で休憩をとりつつ装備を整えました。
まずは雪のたっぷりついたチェンスパを脱ぎ捨てます。
こんなに雪がついたの初めてなんですけど、わたしのチェンスパに一体何が起きたのでしょうか?
厚底20㎝、足長効果抜群★
久しぶりのアイゼン装着にはまた手惑いました。
何回やっても間違える…アイゼンってユーザビリティ低くない?(自分が慣れていないだけです)
ニット帽をバラクラバにし、ヘルメットとピッケルを装備すれば山頂アタックの準備はばっちり。
オーバーグローブも出しました。
上は見るからに風が強そうです…。
装備を整え再び先に進みました。
広場から少し歩くと、目の前に雪の急斜面が立ちはだかりました。
目を凝らせば斜面に取りつく無数のハイカーの影。
遠目で見ても結構な斜度がありそうです。
ここ登んのかい、勘弁してくれ~と口では言いながらも、みんな胸中わくわくしていたことは言うまでもない。
みんなど変態ですからね!(笑)
ここで北村パイセンが写真を撮ってくれました。
Yさんとわたし♡
まじめなツーショットってなかなかないので嬉しいです(*'▽')
暗めなところが彼の写真の特徴。
わたしはこういうの撮れないし、作れない(現像できない)ので勉強になります。
さて、急斜面の取りつき点にやって参りました。
この急斜面ですのでアイゼン・ピッケルはあったほうが良いと思います。
あと気をつけなければならないのは雪崩ですね。
当たり前ですが、装備と判断は自己責任にて。
ここでポーズとったのにがっつりぼかされた件について。
おい北村!ピンが来てねえぞ!(笑)
斜面ですが、連日登山の疲労もあってか結構きつかったです。
体力まだまだ足りてないなあ…トレーニングしなきゃなあ…。
北村パイセン、色んな角度からいっぱい撮ってくれてた(笑)
ありがとうございます。
彼は前日10時間以上寝たらしく、体力が有り余っていて雪の斜面を縦横無尽に行き来していました(笑)
時々立ち止まって休憩しながら、なんとか斜面の上部までやってきました。
みんな写真を撮ったりしてゆっくり登ってきていたので、先に着いたわたしはひとりで3人を待ちました。
お師匠は雪煙立つ斜面で何やらごそごそ(笑)
坂の上部はだいぶ風が吹き抜けるようになっていて、飛雪がバチバチ痛かったです。
サングラスの限界が来ておりました…。
↑の写真を撮っているわたしを師匠が撮ったのがこれ。
シュールだね。
稜線まで出るとやっぱり強風でした。
サングラスをゴーグルに交換です。
ここからは稜線歩き。
ピッケルを握りなおして気合は十分!
夏は藪の中とあってか、雪から頭を出した笹やらなんやらでたびたび行く手を阻まれはしたものの、トレースのしっかりついた稜線を歩くのはいくぶん快適でした。
見え隠れする青空も一興。
背後の雲の中には乗鞍岳の頭が隠れています。
裾野だけでもど~んって感じで威圧感ある。
右手には大好きな霞沢岳様。
いつ見ても、どこから見てもお美しい。
景色は良いのですが風だけは強く、雪煙が凄かったです。
いつの間にかまた先頭になっていたわたしが真っ白に飲まれる図。
師匠も北村パイセンも写真に夢中で全然登ってこない(笑)
大きな岩の陰で皆さんが登ってくるのを待ちました。
わたしもわたしで山頂が近づくと「山頂山頂~♪」となってしまうのは良くないですね(笑)
これ厳冬期だったら寒くて待ってられなかったよ。
再び集合した4人で稜線を登り切りました。
というわけで、焼岳南峰初登頂です✦
(せっかく登頂したって言うのに各々が好き勝手やってて記念写真になりゃしない。)
焼岳南峰
山頂に標識はありませんが、周辺は少し広くなっていたのでしばらく辺りの山々を眺めていました。
これは穂高連峰の方。
雲を被っているので上の方はよくわかりませんが、晴れていればこの間登った西穂独標も見えるはず。
雲の中にある独標を(心の眼で)見ていたら、再びあの時の感動がこみ上げてきてテンション上がりました。
独標にも同行していた北村パイセンの肩を思わず叩きました(爆風のせいで会話ができなかったので(笑))。
穂高連峰の手前、すぐ近くにあるのは北峰です。
煙をシューシューあげていて怖し。
北峰に登ったのは3年前の初秋であったか、ずいぶん遠い昔のように思います。
上高地から登るルートにある名物長梯子も、 冬の間は外されているようです。
てか、この時はまだブログもだいぶ初期の頃なので、今この記録読むとへたくそすぎて恥…(笑)
最後の方に独標に行きたいって書いてありますが…行ってきたぞ~(積雪期に(笑))。
この頃の自分は、2年後にアイゼンピッケルヘルメット装備して雪山に出かけるなんて思ってもいなかったな…。
なんか妙に笑えてきて愉快です。
師匠や北村パイセンがいっぱい写真を撮ってくれました(*'▽')
我ながらノリノリかよ。
爆風の唐松岳を撤退して以来、山のどんな風にも負ける気がしません。
…などと言ったらいつかバチあたりそう…山の神怖いからネ…。
わたしは最近写真が絶賛不調中でして、この時もあまり撮らなかったので載せられる写真が少ないです。
写真って、何なんだろう(哲学)
下山
風強すぎて平和のへの字もない山頂を後にし、登ってきた登山道を再び下りました。
途中で岩の裏にできたでっかい氷柱を見つけたオレ。
写真を撮る北村パイセンに威嚇。
バラクラバのせいで名探偵コナンの犯人役みたいになっとるがな。
その様子をさらに上から撮ってくれたYさん。
見るたびに笑える神構図。
氷柱、最後は叩き割ってやりました。
あまりの奇行にうしろの師匠も唖然。
※良い子はマネしないでください。
くだらない氷柱お遊びはさておき、稜線をどんどん下りました。
途中笹薮を突っ切ったのですが、笹から足を引き抜くときに足が攣りました(笑)
雪山で足が攣るの何回目だろう。
急に座り込んだわたしを心配して「怪我したの!?」と言ってくれた師匠、「足攣ったんです~」って返事したら「な~んだ」と言い残してさっさと進んでいきました。
え、師匠意外と薄情者説!(笑)
弱層テスト
登りで苦労した急坂まで戻ってきました。
トレースのついていない場所はひざ下まで雪に潜るので、ふわふわの雪を足で押し込みながら下りました。
1月の千畳敷の下りを思い出します。
寒い山行だったな…。
坂の下まで来てから、師匠に教えてもらって弱層テストというのをやりました。
弱層テストとは、簡単に言えば「その斜面にはどれくらい雪崩のリスクがあるか」というのを知るためのテストです。
何種類かあるみたいですが、今回教わったのはハンドテストというもの。
①まず、踏み荒らされていない適当な斜面を見つけて直径40㎝ほどの円を雪の上に描きます。
②円の周りの雪を掘り、円柱を作ります。※高さ70㎝くらいが理想ですが、手で雪を掘るのは結構大変なので、今回は30㎝ほどしか掘れませんでした(大汗)
ここからいよいよテスト開始。
③円柱を手首だけを使って両手で叩きます。
④次に、円柱を肘まで使って両手で叩きます。
⑤最後に、体を使って円柱を叩きます。
③~⑤のうち、どこで円柱が壊れたかによって、そこがどの程度雪崩が発生しやすいのかを知ることができるというわけです。
この斜面では、⑤の段階でゴリッと円柱がとれました。
よく見ると、円柱がとれた境目で雪質が違っているのがわかります。
触れて見れば、下の部分は湿った重い雪でした。
一見同じように見える積雪地帯ですが、その下は地層のように様々な質の雪がミルフィーユ状に積み重なっています。
そのうち、どこの層までが弱く脆いのかを知ることができるのが弱層テスト。
今回は⑤で層がとれたでほとんど雪崩の心配はない(あくまでテストを実施した部分に限る。1m、2m先が同じような状態とは限らない)ということですが、これが③や④でとれたり崩れたりすると、その場所はかなり脆くて雪崩が起きやすい場所ということになります。
雪山につきものなのが雪崩のリスクです。
そのリスクマネジメントの一環として、弱層テストを取り入れるのも良いかもしれません。
毎度のこと、師匠には色々なことを教えていただいています。深謝。
弱層テストの後は、アイゼンをチェンスパに、ピッケルをストックに、ヘルメットをニット帽に取り換えて、ノーマル装備で下山しました。
最後の方は日中の暖かさに雪解けが進み、泥べちゃの中を強制的に歩かされる羽目になりました。
おかげさまで靴はおろか、ゲイタ―やパンツ、ハードシェルにまで泥が飛んで散々でした(笑)
それでも最後は、駐車場の隅にあった雪の山に泥をこすりつけて綺麗にするというお決まりの行事を終え、無事にみんな車に乗り込むことができました。
最後まで運転していただいた師匠、同行してくださった皆さん、ありがとうございました!
お疲れ様でした。
反省
暑さと寒さが混在する残雪期の登山は、厳冬期の登山よりもレイヤリングが難しかったです。
これまであまり残雪期に高山に出かけていなかったので、ちょうど中間的な衣類が手持ちに全くない…。
中厚手のメリノインナーとか、長袖Tシャツとか、雪山用でライトなソフトシェルパンツとか、ベストとか、こういう微妙な立ち位置のアイテムが欲しいかも…と初めて感じるくらい微妙な気候でした。
それから今回は出発時点から積雪があったので雪靴を履けましたが、「これがほぼ夏道だけど部分的にアイゼンがいる」みたいな時期にこれからなっていくと思うので、そのためにセミワンタッチアイゼン・靴とかが欲しくなるんだろうなと…。
靴に関しては未だに自分の足に本当に合うものを見つけられていないので、こういうアイテム探しは一生終わらない迷宮路なんだろうなと思いますね…。沼〜。
感想
改めまして、雪の季節とは良いものですね。
夏は藪に隠された頂へも導いてくれる雪に感謝です。
今回の難所?と言えば、広場から少し進んだところにある急登でした。
イメージは千畳敷カールのミニバージョン。
GW中は連日山に登っていたので、その疲れが出たのか結構キツかったです(笑)
ただ地道に無心で足を動かすだけの時間…修行かな。
しかしそのきつさを乗り越えれば、山頂での感動がきっと待っているでしょう!
これから行く方はそれを楽しみに頑張ってくだされ。
実は活火山(この表現は正しくないのですが敢えてこう書きます)というものには全く惹かれないしむしろ遠慮させていただきたい種類の山なんですが(笑)、危険なところには美しさが付随するという皮肉もありまして、間近に見て、登った焼岳は大迫力でかっこよく、自然の壮大さを嫌でも感じさせられました。
行って良かったなと思います。
でも今にも爆発しそうで恐ろしいので、誘われない限りはたぶん今後一生登らないとも思います(誘われたら登ります、単純なんで)。
(御嶽の噴火事故のせいで活火山恐ろしくなっちゃったんだよね。あの日はあんなに良いお天気だったから、みんなすごく気持ちの良い登山を楽しんでいただろうに…。とても心が痛みます。山っていうものは、にこにこ微笑んでくれていたと思ったら、急に顔色変えて本気で殺しにかかってくるんだから…冷酷だよ、情けのなの字もないよね。やばいと思ったその時はもう後の祭り、時すでに遅し。そういうことを、山の事故が起こるたびに学びます。本当に、亡くなった方々のご冥福を心よりお祈り申し上げます。)
残雪期の高山に登って学んだことも多かったので、これを機に装備の見直しやリスクマネジメントへの意識も変えていけたらいいなと思います!