やまとりにっき

山登りやお出かけを中心とした日々のあれこれです

<山行記録> 北ア 爺ヶ岳 ~初級バリ南尾根ルート~ 2021.5.22

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こんにちは。

今日は北アルプス爺ヶ岳を南尾根から登った記録です。

爺ヶ岳について

爺ヶ岳については過去記事をご参考ください。

yamatori0422.hatenablog.com

 

山行記録

 5:35 扇沢登山口駐車場 ー 6:30 八見ベンチ ー 8:50 ジャンクションピーク ー 10:30 爺ヶ岳南峰 11:40 ー 13:15 ジャンクションピーク ー 15:30 扇沢登山口駐車場

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残雪の爺ヶ岳

はじめに

どうも、ほったらかしすぎやまとりにっきです。

1ヵ月以上更新をさぼってしまったのは初めてではないでしょうか…ピエン。

それでも山行は相変わらず週1~2で行ってますので、ふみかーの山愛は健在ですので…。

 

さて、今回は5月の山行のお話。

同期の北村パイセンと爺ヶ岳に登った思い出になります。

まだ残雪が多い季節だったので、初級バリエーションルートである南尾根を使ってきました。

初級とは言うものの、我々のような初心者にはGPSがないとちょっと心配な藪漕ぎだらけ。

稜線では爆風雨に晒されて心のダメージは大きかったですが、雷鳥に出会えたり、最後は晴れたりして、とっても良い山行になりました!

 

扇沢登山口からジャンクションピーク

扇沢登山口には北村パイセンの車で向かいました。

登山口に一番近い駐車場は、夏のシーズンだと早朝でも満車になりがちですが、この微妙な時期に出かけたのが功を奏したのか、到着時は先客1台のみでした。

 

しかし、空いていることを喜んだのもつかの間。

車を降りると外は小雨が降る悪天候

 

上下レインウェアを着込んでの出発になりました。

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雪解け水を湛えた扇沢

 

登山口のポストにあらかじめ作成しておいた登山届を提出し、登山開始です。

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装備は夏靴でも良いかとは思いましたが、天気が良くないということもあり念には念を……冬靴を履いています。

わたしも北村パイセンもスポルティバのほぼハイエンドモデルなのですが、雪のないところで履くのは色々な意味で辛いものがありますね(笑)

 

登山開始早々、めいっぱいのシャクナゲが出迎えてくれました。

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この辺りのシャクナゲはこの時期に咲くんですね。

実は山のシャクナゲをまじまじと見たことがなかったので感動しました。

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iphoneで撮影

豪快だけどどこか儚く、美しかったです。

 

花と言えば、この紫陽花のような白い花もたくさん咲いていました。

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オオカメノキかな?

大きな葉が亀のように見えることから「大亀の木」だそうで。

この葉っぱを持っている木って山で結構目にするけど、花を見たのは初めてかもしれないです。

一足先に咲いた紫陽花のようでかわいいですね♡

 

樹林帯ということもあり、小雨が気にならない程度になったので、途中でレインウェアを脱ぎました。

わたしはノローナの雪山用ハードシェルを着ていたのでかなり暑く感じましたが、レインパンツを脱いだらちょうどよくなったのでウェアはそのまま着ていることにしました。

へたに脱いだりすると体が冷えることがあるので、この時期のウェアリングは慎重に…。

 

標高を上げるとショウジョウバカマが姿を見せてくれました。

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結構咲いていましたよ!

葉が地面付近で放射状に広がるのが特徴です。

ひとつの茎にいくつも花を下げている姿はキュンですな!

生育場所によって色が変わるみたいですが、爺ヶ岳ショウジョウバカマはみんな綺麗なピンク色でした。

 

花を撮るわたしの前方では、北村パイセンが熱心に風景写真を撮っていました。

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新緑萌ゆ森は気持ち良いです。

 

道中ラッキーなことに、木々の間から虹を垣間見ることができました。

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日本では虹は7色と言われていますが、他の国では5色だったり3色だったりするみたい。

虹ひとつで文化の違いや色の識別の違いがわかるなんて面白いですよね。

 

北村パイセンが手を加えた写真では、虹が二重に見えるようになっていました。

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ダブルレインボーと呼ばれる現象。

内側に出ている濃い方が我々が良く見ている虹(主虹と呼ぶ)で、光が大気中の水滴に1回反射することによって出現します。

一方外側の薄い虹(副虹と呼ぶ)は、大気中の水滴に光が2回反射するため、主虹と色が反転して見えるんだそうです。

この写真も良く見ると、主虹は外側から赤→オレンジ→黄色…となっているのに対して、副虹は内側が赤になっています。

(虹ひとつで何行使うんだよ。)

 

自然が生み出す色んなマジックを楽しませてもらいながら、あっという間に八見ベンチまでやってきました。

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ここが本日の肝。

 

下調べによると、この八見ベンチを少し行ったところが南尾根ルートに入る分岐ということで、ここからは分岐を血眼で探しながら歩きました。

…………嘘です。

分岐のことなど忘れてくっちゃべって歩いていたので、分岐にある赤テープをものの見事に見逃し、気づいたときにはテープから数十m先まで進んでしまっていました。

「なんかこれ行き過ぎてね」という北村パイセンの一言でGPSを確認後、急いで引き返すという失態。

八見ベンチを過ぎたら、分岐を血眼で探しながら歩くことをお勧めします。

 

こちらが見逃した分岐です。

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まっすぐ続いているのが柏原新道。

写真左の木に赤テープが3本ついているのが確認できるかと思いますが、このテープが分岐の目印になります。

ここを右手の藪中に突っ込んでいくのが南尾根ルートです

 

積雪期は歩きやすいのかもしれませんが、この時期はもう完全に夏道になっているのでこれを行くのはなかなか勇気がいりますね…(笑)

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南尾根ルートにいざ行かん北村パイセン

最初の一歩の段差がめちゃめちゃ高くてきつかったです(笑)

 

踏み入ってみるとやっぱり藪でしたが、意外と踏み跡があって安心しました。

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この藪を冬靴で歩く悲しさと言ったら…。

夏靴にするべきだったと後悔しちゃった。

 

尾根上はこんなふうに綺麗に道が出ているところもあれば、藪をこいでいくような場所もありました。

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尾根伝いにひたすら歩けば良いだけなので、気を付けていれば迷う心配はないとは思います。

 

しばらく展望のない道を歩いていくと、だんだん木々がまばらになって北東方面が開けました。

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見えているのは安曇野市かな?

水の張った田んぼのせいで、なんだか水没した街のように見えました。

 

そしてこの辺りからは雪が出てきます。

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腐っている雪は足を取られて非常に歩きづらいです。

傾斜はそれほどではないので、ここはつぼ足にて通過。

 

しかし森を抜けると右手に落ちる急斜面となったので、チェンスパを装着しました。

この辺りがどうやらジャンクションピークのようです。

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ほぼほぼ森林限界を超えた尾根上から眼下を見れば、青く晴れた水田の街。

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ダケカンバのもりもり具合に元気をもらいました。

 

ジャンクションピークから爺ヶ岳南峰

山頂はどうやら雲の中そうだし、とにかく頭上で鳴り響く風の音が恐ろしかったですが、ここまで来たら頑張ってみたいと思うのが山ガール魂(?)

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前を歩く北村パイセン、この腐り雪に臆せずどんどん歩いて行ってしまうので、こういう雪では唐突に落とし穴が出現するから気を付けた方が良いよ~、と、言おうと思っていたその時…

 

落ちた。(笑)

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北村パイセンが急に視界から消えて焦った(;´Д`)

この時は笑っていましたが、北村パイセンの足の下には真っ暗な雪の影が伸びていて寒気がしました。

 

実はこの雪はスノーブリッジになっていて、踏み抜いたと同時に滑落して雪の下を何十メートルも滑り落ちる…なんて考えるだけで身震いしちゃいます。

踏み抜きは気をつけようもないですが、リスキーな場所(残雪の端っことか)は歩かない方が良いですね。

 

さて、ジャンクションピークを過ぎてから大休憩を取りました。

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休憩のタイミングでわたしはまた足が攣ったので、例の如く冬靴を脱ぎ捨てポイ。

今回は冬用の靴下を忘れてしまい(だって夏靴で行く気満々だったんだもん)、夏用FITS靴下をセレクトです。

冬用より薄い分、靴からのホールドがなくて余計痙攣しちゃったんだと思います。

なかなか治ってくれず、良い休憩になりました!(笑)

 

この日はひどい西風が吹いていたので、この休憩中に防寒対策を整えました。

ここからは東斜面を抜けてしまうため、風の影響をモロ受けします。

装備も心の準備もばっちりしてから山頂を目指しました。

 

歩き始めてすぐに藪漕ぎ稜線になりました。

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結構…かなり寒かったので、レインウェアの下にフリースまで着込んでしまいました。

冷たい風に吹かれて体温は急降下。

 

それでも、左手に見えてきた赤沢・鳴沢・岩小屋沢あたりの尾根谷が美しく、大いに励まされました。

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後ろはこんなに晴れてるんだから不思議なもんだ。

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photo by 北村パイセン


頂上稜線に雪は全くナシです。

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ピッケルが邪魔で仕方なかったです。

爆風にかすかに混じっている雨粒も不快指数を上げてくる…。

サングラスではどうしようも防げず、結局ゴーグルをする羽目になりました。

 

風に抗いながら冬靴で夏道を歩くという修行は意外ときついもので、最後の方はほぼ気合で歩いていましたが、無事に爺ヶ岳南峰に登頂することができました!

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photo by 北村パイセン

山頂も爆風を覚悟していたのですが、地形上風裏になっているのか、しんと静かで穏やかだったので拍子抜けしました。

 

爺ヶ岳南峰

山頂では、各々良い岩(イス)を見つけて休憩。

北村パイセンが今回もケーキを持ってきてくれたのでありがたくいただきました。

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山にケーキ持って来る行事すごない?

今度からケーキの北村って呼ぼうかな…。

 

あと、雷鳥も現れてくれました。

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photo by 北村パイセン

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photo by 北村パイセン

目の上が赤いからオスですね。

雷鳥と言えば子連れのメスが「くぅくぅ」と鳴きながらぽてぽてあるく姿が真っ先に思い浮かぶのはわたしだけでしょうか。

オスのライチョウを見たのは今回が初めてかもしれません。

 

オスは「ゲロゲロ」とカエルのように鳴くということを知らなかったのですが、最初は声はするども姿は見えなかったので、「こんなところにカエルがいるんだね~」などというバカな会話を北村パイセンとかましてしまいました(笑)

 

雷鳥は曇りの日によく出てくれるので、今回は天気が悪いことが幸いでしたね!

雷鳥のサービス精神に感謝。

 

下山

中峰も行こうかという話もありましたが、この天気なので南峰で引き返すことになりました。

 

下山時も稜線はとても風が強かったです。

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photo by 北村パイセン

 

しかし途中から天気が回復しだし、霧の間から日が当たるようになってきました。

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ぼやけていた視界がスッと晴れると、どきどきわくわくも倍増します。

 

待てば晴れそうな予感がしたので、ちょっと広くなっている場所で休憩がてら晴れ待ちをすることに。

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ちょっと晴れると「晴れた~~!」と騒ぐお決まりのヤツをやるのが楽しかったです。

 

そして予感が当たり、ちょっぴりですが山々も出てきてくれました。

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photo by 北村パイセン

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蓮華岳

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爺ヶ岳鳴沢岳稜線

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種池山荘

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扇沢

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まだ雪が残る北アはいかつくてかっこよかったです。

 

帰りのジャンクションピークからは、登りでは見られなかった爺ヶ岳南・中峰が♡

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さらには槍の雄姿まで拝むことができました!

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photo by 北村パイセン

穂高も見える!

その手前の餓鬼・唐沢も良いですね。

 

森に入ってからは藪を漕いで、

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明るい新緑を歩いて、

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駐車場まで帰ってきました。

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山めっちゃ晴れてる~(笑)

 

雪融け水たっぷりの扇沢はやぱりきれいでした。

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以上、お疲れ様でした!

 

反省

序盤天気が悪かったということもあり冬靴を履いていきましたが、もうこの時期は夏靴にチェンスパでも十分だと感じました。

冬靴で藪漕ぎは地獄です。

雪が腐っていて踏み抜きもあったので、爺ヶ岳南尾根を使うならもう少し早い時期が良いと思います。

 

感想

自分史上(たぶん)初めてのバリエーションルートだった今回の山行。

積雪期にしか歩けないルートを歩いているという特別感はたまらなかったです。

頂上稜線では爆風と雨に打たれて気が滅入りましたが、厳しい環境を乗り越えた先にある景色と達成感は、疲れも吹き飛ばすほどでした。

来年は同じルートを、残雪期ではなく厳冬期の終わりくらいに行けたら良いなあ…と思いました。

もちろん今夏もこの山域に足を運ぶ予定です✦